「本当に思い出せなくなる前に」続

  • 2018.04.30 Monday
  • 16:54

 おかげさまで遠地からのお客さまも含め、たくさんの方々にご覧頂いております〜。ありがとうございます。

 ゴールデンウィーク期間中も営業しておりますので、未見の方もぜひお立ち寄り頂けたらと思います。ただし火曜は定休です。くれぐれもご注意下さいませ。

 

 さて、清野さんの展示もついに9割方(?)ととのったご様子なので、先告どおりあらためてご紹介いたします(前回の記事はこちら)。

 いつもなら状況なりロケーションを活かして、直接ご本人がパフォーマンスなさることが多いのですが、今回はインスタレーションです。

 昨秋くだんの展覧会で実施なさった3つのパフォーマンスを踏まえ、「本」をいくつかお作りになって下さいました。

 

 ステイトメントの直下に一冊視認できるほか、この画像にはおなじ体裁の「本」が2冊写り込んでいます。。

 

 当のパフォーマンスが生まれるまでの経緯が日記ふうに認められてたり、古ぼけたフィルムが収納されてたり。どうやら必ずしも正確なドキュメントが目論まれているわけではなさそうです。というのも、内容が誤解も含め、想像をかき立てるよう工夫され、それどころか店内の古本に紛れるようにインストール(設置/排架)されています。かくれんぼみたい。さながら、テキストなり画像たちみずから、清野さんに代わってパフォーマンスしてるかのよう。

 

 

 元々、身近にある瑣末で見過ごしかねないものごとへそっと耳を傾けるようなワークが、清野さんじしんに多く、今回の「本」とその中味たちも彼女の姿勢そのままにひっそり佇んでいます。

 

 

 フィルムはテーブル下にある映写機で投影できます。フィルムはこの映写機と一緒にドイツで購ったんだそう。ともに中古品だとのこと。どこの誰がどんな目的で撮ったのか今となっては杳として知れません。。

 

 展覧会の会期は5月いっぱいです。

 会場では、本展のきっかけになった冊子も販売しております。

 どうぞお手にとってご覧下さいませ〜。

 

 『あなたと海のあいま、通り過ぎてゆくすべて』2018、¥972

  目次

   p3 展覧会のためのテキスト(門眞妙)

   p9 はじめに

   p13 あなたと海のあいまを見に行った日(金川晋吾)

   p19 三つのよそよそしい風景(佐々木友輔)

   p27 The catcher in the margin(関本欣哉)

   p29 遠藤くんと門馬さんのあいま、通り過ぎてゆく清野さん—写真にとっての速度、絵画におけるレイヤーの意味、問いにも充たない問いかけに呼応するパフォーマンス—(高熊洋平)

   p43 極私的回想—「あなたと海のあいま、通り過ぎてゆくすべて」に寄せて—(岩澤克輔)

   p59 すべての地域アート、震災アートに弓を引く(遠藤祐輔)

   p67 パフォーマンスについて(清野仁美)

   p75 会場マップと作品リスト

   p86 プロフィール

   p89 さいごに(門眞妙)

 

 ご参考までに、、拙文からお三方に触れた部分を抜粋しておきます。

 

 [門眞作品について]会田誠の《あぜ道》(1991)と比べると一目瞭然だ。この作品では近景に少女の後頭部を置き、まるでその髪の分け目を延長するかのようにあぜ道が頭部の向こうへ継続して描かれている。頭部が後景を隠すことなく、むしろ奥へ向かう中景の連続性が強調されているのだ。しかもこれは透視図法による空間の連続性にかけて、絵画史上の意味のアイロニカルな非/連続性が仕組まれている。よく指摘されるように東山魁夷の《道》(1950)を踏まえているのだ。つまり空間を通して絵画の中へ誘う同じ手管が、歴史への導入にもなりえている。会田にはストレートでなくとも時空間への信頼が認められる。他方門眞にはそれが端的にない。この点はのちに改めて論じる。…(本文p31)

 

 [遠藤作品について]少年らの写真も同じことだ。彼らの足が速いというのではない。かりに動作がいくら遅かろうと、あの布置を見切ることなど誰にも叶わないだろう。そればかりか、そもそも否応なく見過ごしてしまうと指摘したいのだ。風景の一つひとつが、あまりにありふれており「目に」どころか気にも留めないだろう。それに、細部どうしがあのような布置を描きうるのは、フレームの四辺があってこそなのだ。文字どおり「目にも留まらぬ」速さだ。目に留められない布置を、まさにカメラが目にも馴染む程度まで減速してくれているのだ。

 ありふれて当たり前に見えているこの現実には、そのすぐ傍らにもうひとつ別の現実性が走っていると考えられる。カメラはこの可能世界に速度を合わせて併走し、人の目にも見えるよう相対速度を相殺してくれるのだ。…(本文p34)

 

 [清野作品について]展覧会場には、吹き込まれた自作テキストが流されてはループしていた。どうやらある植物の前途を巡り、作家じしんが大きな集団と渡りあい、その末に敗北した、その実際の顛末が思い返されているらしい。

 文面はかなり一般化されており、具体的な像を結ぶのは困難だ。それが会場の上方から、朴訥かつたどたどしい声によって、静かに降り注いでいた。聞き耳を立ててようやく察知しうるささめきだ。

 それだけに、声高に訴えて植物の代理を請け合っているようには聞こえない。さりとて、損なわれた過去への感傷が詠われているわけでもない。むしろ、淡々としているあまり眼前の観者などお構いなしに、遥か神とでも交信しているかのようですらあった。…(本文p37-38)

 

 

3人展「本当に思い出せなくなる前に」開始!

  • 2018.04.21 Saturday
  • 15:42

 予告どおり、昨日4/20(金)から始まりましたー。

 仙台ゆかりの作家さんたち、遠藤祐輔さんと清野仁美さん、そして門眞妙さんによる展覧会です。

 

 遠藤さんの写真と門眞さんのドローイングが入り乱れてあしらわれてます。

 

 天窓のくぼみにまで!でも、ここの光がいっとう明るくて柔らかできれいに見えるかも。

 

 ものすごく薄いのでつい見過ごしてしまいそう。だけどじわじわ見えてくるのがなかなかよい感じ。

 

 外から見ると透けてきれい。ビビッドな色だけに余計に!

 

 さざ波と耳や衣服が風にそよぐアニメーション。門眞さん的には絵画の延長らしい。。

 

 「本当に思い出せなくなる前に」

  会期:2018.4.20-5.31(火曜定休)

  時間:10:00-20:00(土日のみ-19:00)

  会場:書本&cafe magellan(マゼラン)/仙台市青葉区春日町7-34

 

 昨秋にも、彼らは塩竈市杉村惇美術館展覧会を開きましたが、今回はその記録集の出版にあわせて企画されました。ほとんど全て新作です。塩竈でご覧になった方もきっとあらためて愉しんで頂けると思います。

 

 右が記録集『あなたと海のあいま、通り過ぎてゆくすべて』(2018)。左がドキュメンタリーまんが『あなたと海のあいま、通り過ぎてゆくすべてができるまで』(2018)。

 

 記録集には、彼らじしんを含め、地元にご縁のある方々が文章をお寄せになっています。くだんの館の館長である岩澤克輔さんやGallery TURNAROUND 店主の関本欣哉さん、それに仙台でも個展をなさったことのある写真家金川晋吾さんなど。

 あるいは、佐々木友輔さんは、当地と直接には関わりがないものの、作家お三方と学生時分からお付きあいなさっている映像作家さんです。映画「土瀝青 asphalt」や「真景カサネガフチ」などの作品でご存知の方も多いかもしれません。なお、末席には不肖ながら高熊も寄稿させて頂いています。

 

 価格は税込み¥972です。作り手による言葉はもとより、他者の目をいくつも通した多角的なドキュメントになっています。

 あわせて、参加作家のお一人である門眞さんが、展覧会を作りあげる経緯をまんがに仕立てた姉妹編も販売します。こちらは税込み¥700です。

 

 

 展覧会を開くのって大変。ショックで門眞さんのメガネがよく割れます(まんがのなかで)。

 

 ほかにも今展の関連書を複数ご用意しております。サンプルもございますので、お手にとってご覧頂けたら幸いですー。

 表示価格はすべて税込みです。

 

 遠藤祐輔さんの写真集。右から『幽霊の証言 Ghost testimony』(2017)¥2970 と『長井さんの話 To wherever I have never been』(2017)¥2484。

 

 門眞妙さんが企画した展覧会のカタログ。右からグループ展『わたしが彼女を見た瞬間、彼女はわたしを見た』(2016)¥1944 と個展『美しい ending』(2013)¥540。

 

  

 

 なお、4/21現在、清野仁美さんの展示は鋭意準備中です。インストールでき次第あらためてご報告いたします!

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