『マゼラン・マガジン』第5号できましたー

  • 2018.07.14 Saturday
  • 13:51

 気づけばもう5号でした。去年は臨時増刊号だったから足掛け6年めになります。案外続くものだなぁと我ながらびっくり。のんびり年刊というのが合っているのかしら。。

 店頭で配布してまーす。じわじわ市内各所でも置かせてもらえたらと考えています。

 

 『マゼラン・マガジン』第5号、高熊洋平、書本&cafe magellan、2018.7

 

 例によって、8コマのまんがをA4コピー用紙に印刷して四つ折りしています。

 今回の参照文献は九鬼周造です。彼の『偶然性の問題』を、ずっとむかし学生時代に面白く読んだ思い出があって、いつか扱えたらなぁとかねて心に留めていたのでした。とはいえ、選んだテキストは生前未発表のごく短いエッセイなのだけれど。まぁ彼の茶目っ気がよく表れた文章です。岩波文庫の『九鬼周造随筆集』に収録されている「音と匂 —偶然性の音と可能性の匂—」の一節。

 あと、サブテキストとして『歌うカタツムリ 進化とらせんの物語』も挙げさせてもらいました。進化をめぐる長いながい論争史の要所に決まって姿を現すカタツムリもさることながら、論争じたいが螺旋状の殻さながらに二大陣営の間を大きく行きつ戻りつ新たなフェイズへ移ってゆくさまは壮大にしてとってもチャーミングです。

 それから、当ブログで先に掲載していた映画評「『リズと青い鳥』について」(前編編)もおまけとして挟みこみました。まんがを描いているうちに問題意識が重なってきたものですから。まぁ参考資料的な位置づけです。

 

 

 当初は、台詞(ふきだし)とショット(描画)の、二つの独立した系の配分をどれくらいコントロールできるかなと着手したものの、仕上がってみれば久野遥子ショックが未だ拭えないなぁとしみじみ。カメラアングルは久野さんから距離を置こうとしてるし、陰影の綾は思った以上にうまく出せなかったし。彼女の『甘木唯子のツノと愛』を捲るたび溜息が漏れてしまいます。。あと思いのほかクリス・ウェアっぽいなぁ。正面性の強い建築のファサードとかフレームの端々に仕掛ける手管とか。。

 

 あ、そうそう、フリペといえばちょうど今、多賀城市立図書館でジン展をやっています。ぼくもさる火曜に拝見してきたのでした。

 野中モモさんとばるぼらさんの共著『日本のZINEについて知ってることすべて』をベースにして、1960年代から現在まで各所で配布されてきた様々なZINEが現物とともに紹介されています。地元ゆかりの品々も相当かき集められていて見応えがありました。

 手づくり感や当時の風俗が強烈というかうんと濃厚で、ちょっと官能的なくらい。ある特定の時空に縛られた個のあがきが透けて見えるかのような佇まいはなかなか魅惑的です。何度手にとりたい衝動に駆られたでしょうか。。(貴重なので展示物はみな保護され中味は見られない)

 残す期日はもうわずか、あさって7/16(月)までのようです。未見の方はぜひ!

 

 trip to zine 〜zineへの旅〜

  会期:2018.6.14 - 7.16

  時間:9:00 - 21:30

  会場:多賀城市立図書館 3Fギャラリー

 

 さて、脈絡かまわず久しぶりに古本屋らしく品出し情報をお送りします!

 最近まとまって入ってきたものたちです。もちろん他にもいろいろ仕入れてますよ。

 

 

 いずれも1978年にほるぷ出版から刊行された「複刻 絵本絵ばなし集」シリーズです。

 明治から昭和の始めにかけて手がけられた絵本や漫画の数々です。どれも味わい深いものばかり。ぜひ多くの方にご覧頂けたらと思います。

 画像に写っているタイトルの他にも在庫あります。お探しのものがあればお問い合わせ下さいね。

 

 

 アメリカの音楽雑誌"downbeat(ダウンビート)"です。1970〜80年代に出版されたものが70冊ほど入荷しました。往時の空気がひしひしと伝わってきます。

 一部500円。状態の芳しくない数部については300円にしました。お買い得ですよ。お見逃しなく!

 

 それから、第2・4土曜には焼き菓子つばめどうさんのお菓子が配達されます。

 きょう届いたのはこんな感じ。コーヒーによく合いますよー。

 

 

 仙台市文化事業団の広報誌『まちりょく』第30号(2018.4)に寄稿した、「仙台写真月間 2017」についての展評がウェブ上でも読めるようになっていました。タイトルは「仙台写真月間とじゆう」です。よかったらどうぞー。

 * 季刊「まちりょく」アーカイブ(第30号を選択の上64-65頁をご覧下さい)

 

 「月間」は今年も開かれる模様です。たぶん秋ごろでしょうか。今から愉しみ。

 

追記

 テキストだけこちらにも掲載しておくことにしました。

 本誌では会場風景や参加者など委細情報も記載されているので、ご興味をもった方はぜひそちらを!

 

「仙台写真月間とじゆう — 仙台写真月間 2017展評 —」

 

 自分たちの手で発表の場を作れないだろうか。そう望む有志4名のもと「仙台写真月間」は2001年に始まった。以来ほぼ途切れることなく毎年開かれている。

 

 参加者は割合流動的で年ごとに募られる。大概しばらくぶりの古参や初参加も入り交じり風通しがよい。ただし公募はしておらず、そのつど参加経験のある者が興味ひかれる作家に声をかけるのだという。だからせいぜい10名を越さない。互いに顔を確かめられる距離感がずっと守られている。

 

 例えばパリや東京などよその「写真月間」が街や企業を巻きこむのとは対蹠的だ。地域ぐるみではなく、地域の中にあってなおあくまで個と向き合える環境が目指されているようだ。

 この傾向は当初から個展の形を崩さない一貫した姿勢により顕著だ。グループ展は極力閑却される。さりとて相互の干渉が敬遠されるわけでもない。むしろあえて会場を分けて同時開催が仕組まれる。個展どうしをぶつけるのだ。

 

 個々の作家性を尊重する傍らかえって個別に閉じてしまわないよう、互いに緊張感を促す配慮が見てとれる。

 風呂敷を無闇に広げたり、逆に閉じすぎることはつとに注意深く避けられてきた。もとより身の丈を見据えた処世術でもあったろう。だがそれにもまして自由を担保する意味合いが勝っていたのではないだろうか。

 予め余計なしがらみや我執を防いだうえでいかに自由を失わずに、個々の表現とさし向かえるか。十数年の歩みは繰り返しそう問い続けているように思われる。

 

 発足後間もなくは同じような写真ばかりだと揶揄されたこともあったらしい。実際にも参加者の多くが黒白のスナップで身近な郊外を写していた。

 それが回を重ねるたびにある者はカラーへ移行し、別の者はコンセプトを重視し始める。次第に方向性が浮き彫りになり互いの異同がはっきりしだす。個展を通して自他を見つめ 直した賜物だろうか。

 

 わけても2005年から加わった花輪奈穂が目をひく。従来のオーソドックスな展示から一転し、今展では支持体を透明なアクリル板に代え宙で群れをなすように吊っていた。どれか1点と正対すると必ず他の写真が目を斜に掠める。かつまた奥の写真が多重露光さながらに透けて見える。焦点を結びづらいばかりかむしろ周辺視野こそが活気づく趣向だった。

 被写体はいつもどおり日常の他愛ない断片だ。意識にのぼる手前であえなくこぼれ落ちてしまうようなイメージの数々。意識の縁に揺れるその危うさを新たな手法は的確に掬いとっていた。これまでの彼女を顧みるにつけ至るべくして辿りついた成果に違いない。

 

 今回名を連ねたのは彼女も含めて経験者が4名と新規が3名、そこへ初めて外部から作家を招き2名が加わった。かたや「写真月間」と直接には無縁の寺崎英子が遺した写真を、小岩勉がキュレートしていたのは新鮮だった。2013年から続くゲストを交えたトークイベントも6回もたれ、いつにもまして活気が溢れていた。(了)

「多夢多夢茶会その四」チラシにイラストを提供しました〜

  • 2017.08.14 Monday
  • 21:18

 今さら告知もありませんが、、例年どおり、本年のお盆期間も通常営業しております〜。

 ただし、明日8/15(火)は定休です。ご注意をば。

 

 本題前に、お知らせ三っつ。

 

 まずは、さる7月に始まった「つんどく読書会」。次回の委細が決まりました。

 9月21日(木)。会場は、同じく弊店マゼランです。

 課題本は、サキの『クローヴィス物語』(白水社)。

 委細ほかご参加申し込みなどは、センダイ自由大学さんのホームページからどうぞー!

 

 

 前回の『ミス・ブロウディの青春』(スパーク)は、参加人数こそ少なかったものの、予想以上に盛り上がりました。

 著者じしんの、運命=シナリオを書き換えるという欲望を、メタフィクション的な試みとして、教師の影響から自律を企てる教え子の成長に読みとったり。あるいは、それが1930年代のイギリスを舞台にしていることから、ファシズムとの関連も話題に上がりました。ファシズムを美的に理想化する教師、彼女の栄枯盛衰はそのまま年表上のファシズムの足取りのアレゴリーになっています。

 次もみなさんとどんな読解ができるか今から愉しみです〜。

 

 話は変わって、、来月の下旬、仙台おとなりの塩釜で面白そうな展覧会があります。

 10代を仙台で過ごした経緯のある、若手作家らによるグループ展です。今や東京を拠点に、ご活躍目覚ましい方々です。

 絵画の門眞妙さんに写真の遠藤祐輔さん、そしてパフォーマンスの清野仁美さん。

 個別に活動なさってきたお三方ですが、並んでみると、ともに風景なり環境と、それに取り巻かれる主体(ざっくりした意味で)を手掛かりになさっている共通項が窺えます。

 ゆえに今展では、作品が仙台なり塩釜とどんな関係を結ぶのか大いに興味がそそられます。

 追って注目してゆきたいと思います。

 

 *「あなたと海のあいま、通り過ぎてゆくすべて」 

  会期:2017.9.21(木)~10.1(日)※月曜休

  時間:10:00-17:00

  会場:塩竈市杉村惇美術館市民ギャラリー
  料金:無料

  お問い合わせ:anatatouminoaima@gmail.com

  企画:門眞妙

  協力:新宿眼科画廊

  備考:10.1(日)16:00~17:00にクロージングパーティあり

 

 かたや東京、吉祥寺では、お馴染み青野文昭さんの大きな個展が開かれます。

 

 

 当初から伺っているいきさつから察するに、今回の大作は今までとはひと味違ったものになりそう。

 どうやら、池の頭公演の池という地理を糸口に編まれているらしいのです。震災以降、環境を参照する作品が増えてきましたが、これまで以上に踏み込んだしろものみたい。うぅ、見にゆきたい。。

 来月初旬からです。

 

 *「コンサベーション_ピース ここからむこうへ 青野文昭展」

  会期:2017.9.9(土)-10.15(日)※9.27休

  時間:10:00-19:30

  会場:武蔵野市立吉祥寺美術館

  料金:一般¥300、中高生¥100(小学生以下、65歳以上、障がい者の方は無料)

 

 閑話休題。

 

 かねて、チラシ制作で関わらせて頂いているイベント、「多夢多夢茶会」。今夏ふたたび開催されるに及び、またイラストを描かせて頂きました。

 例によって、B5コピー用紙を中折りしてます。

 

 

 俯瞰で入る表紙。フランス窓は、やっぱり魅力的なモチーフです。。

 

 

 これを開くと、、

 

 

 カットバックで室内へいきなり侵入。望遠パースと逆光で表紙とコントラストつけてます。

 そして、裏表紙へ回ると、、

 

 ふたたび外へ。ねこは、どうやらスズメを仕留めそこなった模様。。

 

 さて、イベントの内容はというと、、メインのジャグリングとともに、色んなジャンルのパフォーマーが舞台にあがります。

 今回の新味は、人形遣いの長井望美さんでしょうか。一方、ジャグラーには東京からハチロウさんが招かれます。ホスト側からは南部大地さんが演奏なさるとのこと。いつもジャグリングで参加なさる結城敬介さんは、構成演出に回られるそうです。

 

 ※「多夢多夢茶会 その四」

  日時:2017.8.27(日)17:30開場/18:00開演

  開場:多夢多夢舎中山工房

  料金:¥1500(1ドリンク付)20席限定・予約優先

  主催:タゴマル企画

  予約連絡先:tamtamchakai@gmail.com

『Blind Date』出版!「カメラになった男」上映!「つんどく読書会」開催! + 2017.7.7.fri. 追記

  • 2017.06.21 Wednesday
  • 21:15

*** 2017.7.7.fri. 追記

 

 下記本文でご案内した「つんどく読書会」、もう来週の木曜7/13です。まだ残席あります。よかったらお申し込み、どぞー。詳しくはこちら

 ちなみに、、当日、第1回目の課題本は、『ミス・ブロウディの青春』(ミュリエル・スパーク、白水Uブックス)に決まりました。

 お申し込み時に参加者から挙げて頂いた候補本のうち1冊を、つど選ばせて頂くという趣向です。

 本書を挙げて下さった方は、候補すべてが白水Uブックス固め。気づくとあるレーベルがまとまって積ん読状態、、案外ありそう。っていうかぼくも身に覚えあります。。時間とれたら、まとめて読もう!とか思ってたりして。

 

 それから、明日7/8(土)、TV番組「あらあらかしこ」さんで春日町が紹介される予定です。弊店も取材して頂きました。よかったらご覧下さいね!

 チャンネルは、仙台放送。朝の10:25〜だそうです。

 

 あと、先月号の『HOT PEPPER(仙台版)』(2017.6)さんの特集記事「仙台BOOKカフェ」でも弊店を取材して頂いています。他には、お馴染みの火星の庭さんと、昨年あたらしくできた2店舗。Café 青山文庫さんとbook cafe 横顔さん。

 

 そして、明後日7/9(日)は、もはや言わずもがな「カメラになった男」の上映会があります。1日限りですが、4回上映されます。絶対おすすめですよー!お待ちしてます!!タイムテーブルは下記本文に!

 当日は、ぼくも関係者ゆえ、店舗の方は早仕舞い致します。10:00〜15:30 と変則営業です。どうかご了承お願い致します。

 

***

 

 告知の連打です!まいどながら後手ごてです!よろしくです!!

 

1. ついに上梓されました、志賀理江子さんの写真集『Blind Date』

 弊店で、同名の展示をして下さってからもう4年が経ちます(飯沢耕太郎さんによる展評)。爾来ずっと待ち焦がれておりました。。

 実はつい先日から、やはり同名の、でもこんどは大きな展覧会が、香川にある丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)にて開かれています。それにあわせて出版されたのです。

 本日から弊店でも取り扱い始めました。メチャメチャかっこいいです。ぜひお手にとってみて下さい!

 

  『Blind Date(ブラインドデート)』志賀理江子 写真、森大志郎 デザイン、

   T&M Projects、2017、¥8,640(税込)、※ 今なら非売品ポストカード付き!

 

 

 本体は(四方)帙に収められています。これをひらくと、、

 

 

 ひだりの羽に、ビッと暁が仄めき、上下の羽にタイ語(たぶん「ブラインドデート」)がぶっきら棒に現れます。

 

 帙の内側の全容はこんなかんじ。今しも視界がひらきつつあるような黎明、「ブラインド」の幕開けです。ちなみに、本来は「ブラインドデート」って、初対面どうしの逢い引きを指します。

 

 

 

 本体は全頁袋綴じ。でも、紙質のせいか、不快なごわつきはありません。それどころか、知らずしらず、指先がわずかな撓みに吸い寄せられています。めくる感触がしっとりして、心地よいくらい。

 

 

 

 これは、おまけのポストカード。小牛田にある、志賀さんのアトリエ「スタジオ・パーラー」です。廃業したパチンコ屋さんをそのまま転用なさっています。天井がうんと高く、冬は超絶寒いそう。夏は。。なかなかハードな環境のようです。

 それにつけてもこのポスカ、怪しげな雲行きといい、鳥の群れといい、つくづく志賀さんぽい。。

 裏面には直筆サインが!!

 

 

 それから、もし志賀さんの過去の写真集をご覧になりたい方がいらしたら、お声がけ下さい。いつでも店内で閲覧して頂けます。

 非売品ですが、『Lilly』『CANARY』『カナリア門』『螺旋海岸』『北釜写真アルバム』あります。

 

2. その志賀さんを中心に、知人数人とドキュメンタリーの上映会を開きます。

 

 

 写真家の中平卓馬を撮った『カメラになった男』です。

 60年代末から70年代にかけ、中平は、自他の別なく苛烈な批判を遂行し「記録」としての写真を追究します。ところが、77年に突如昏倒し、多くの記憶を失います。爾来、かつて自らものし、写したはずの批評文や写真をためつすがめつ見返しては、自己を再構築しつづける日々が始まります。

 映画は、2001-03年、つまり60歳半ばにいたる彼の、今なお再構築を繰り返し、淡々と闘い続ける姿を追っています。

 道すがら、中平を知らない観光客から「(記念)写真を撮ってほしい」とカメラをさし出されるや、勢い自分の撮りたいものへフォーカスを向ける中平。眠りこむホームレスの男性を目ざとく写しとったり、ねこのそっけない一瞬を待ちにまったり。中平の一眼レフへ寄り添う映画のカメラは、いつしか観客をも巻き込み、新たなまなざしの生起に立ち会わせてくれます。

 

 上映するのは、7/9(日)たった一日だけですが、朝から計4回を予定しています。ご都合のつく方はぜひお見逃しなく!

 また中途には、監督の小原真史さんを迎え、主催メンバーとの座談会。締めくくりにはサービスとして、ジャン・ユンカーマン監督の『日本国憲法』を無料上映します。

 

 なお、当日ぼくも座談会の末席に連なる予定ゆえ、店を早じまいします。15:30ごろから畳み始めるつもりです。どうかお気をつけ下さいね。

 

  会場:せんだいメディアテーク7Fスタジオシアター

  タイムテーブル:10:00-『カメラになった男』上映 /12:30- 同左 /14:30- 同左 /16:20- 座談会

  /17:30- 『カメラになった男』上映 /19:20-『日本国憲法』上映

  料金:¥1,200(入替制、各回20分前より受付)

  主催:LONG HOPE MEETING(tel 080-3952-7430)

 

 それから、本上映に関連してブックフェアを催します。会場は、弊店とカネイリさん(せんだいメディアテーク1F)。

 会期はもう始まっており、およそ7月の下旬まで予定しています。かたや、カネイリさんは7/1から。

 なお、今回は、心強い同業者に協力を仰ぎ、委託販売させて頂いています。最近、泉区から青葉区の五橋へ越してらした古書 水の森さんです。色んな写真集をしこたまお持ちなのです。この場を借りて改めてお礼をば。本当にありがとうございます!

 

 

『来たるべき言葉』に『新たなる凝視』、、挙げ句ドイツの出版社スタイトルから出た『THE JAPANESE BOX』まで!

 

 

 ほかにも東松照明の『OKINAWA 沖縄 OKINAWA(沖縄に基地があるのではなく基地の中に沖縄がある)』や『I am a king』、それに北井一夫『三里塚』等々目白押し。

 あと、弊店からは沖縄の歴史や政治に触れる本もいくつか見つくろっています。映画の、クライマックスのひとつが沖縄/琉球にかかわっているのです。

 

 

3. 弊店を会場に、小さな読書会が企画されました。センダイ自由大学さんからお声がけを頂きまして、初めて試みます。

 端的にいうと、みなで積んどく本を消化してみよーというお誘いです。

 

 

 さしあたり、第1回めは7/13(木)20:15-22:00。参加費¥1,000(コーヒーとクッキー付)に定員6名です。できれば、少なくとも6回は継続したいのだけれど、それも反響次第。どうなることやら、どきどきです。。

 詳しくはこちらをご覧下さい〜。

『マゼラン・マガジン』臨時増刊号(贋作 佐藤純子)!

  • 2017.04.20 Thursday
  • 23:01

 もう4月も中旬まわっちゃいました。花粉症でうかうかしてる間に、ときの経つのが速いこと。例年だと、ピークは2月だったのに、今年にかぎって今ごろ迎えてます。おまけに昨日の暴風のおかげでずるずるのぐずぐずです。うぅ。。

 

 まずは、ゴールデンウィークの営業について。

 いつもと変わらず、火曜は定休を頂き、それ以外は通常営業いたします。なので、4/25、5/2、5/9がお休みです。どうかお間違いのないよう!

 

 さて、振り返ってみたら、青野文昭さんの個展がほぼ半年にさしかかっていました。まいどながら、ぼくのわがままにお付きあい下さり、青野さんには感謝しても仕切れません。そして、ご覧下さった方々へ、、ありがとうございました!いずれまた、時機を見計らって展示して頂けたらと考えています。その折にもどうかよろしくです。

 

 それから、4月11日(火)には、佐藤ジュンコさんの個展にあわせたトークイベントが開かれ、ぼくも登壇させて頂いたのでした。嵐のなかご来場下さった方々へ、あらためてお礼申し上げます。ありがとうございました!

 ジュンコさんの作画風景を上映しながらの談話。個人的には、あれこれ発見があって愉しかったです。。が、何ぶんぼくのしゃべくりのお粗末さといったら。。平謝りするほかありません!

 それでも、ジュンコさんが積極的に解説して下さったおかげで、かなり実のある内容になったのではないかしら。ジュンコさんをはじめ、会場のタナランスタッフのみなさま、お世話になりました!

 

  当日は、おみやげ代わりにと思って、急遽こしらえたフリーペーパーを持参しました。『月刊 佐藤純子』のパロディです。思いのほか、ご本人にもよろこんで頂けたようで、ひとまずはほっ。。でも、ほぼ一夜漬けの代ものゆえ、見返すとあちこちに不備が。そこで、ところどころ修正して改訂版を作りなおしてみました。よかったらどうぞー。店頭で配布してます。

 

 『マゼラン・マガジン』臨時増刊号(贋作 佐藤純子)、高熊洋平 著、書本&cafe magellan 発行、2017

 

 例によって、A4コピー用紙(期せずして「月刊 佐藤純子」とおなじ!)の四折です。

 

 「月刊 佐藤純子」に登場するジュンコさんの自画像、じつはそれほど似ているようには見えません。近ごろは、髪型すら現実とは異なってたりしますし。

 ともあれ、今回の「贋作 佐藤純子」では、ご本人ではなく、この似ていないキャラの方を真似たつもりでした。ところが、描いてるうちに、目の前のキャラを通り越して、ご本人の面影が過ることしばしば。めまいがしました。

 似ていないはずのキャラをなぞっているのに、まさに似ているとしかいえない表情が見えてしまうのです。まぁ、自分で描いているわけですから、その分はさし引く必要がありますし、単なる気のせいかもしれません。とはいえ、不思議な感覚に襲われたのは事実です。

 

 

 ところで、随分むかし、森進一や野口五郎をまねるコロッケに震撼した時期がありました。小学生のころでしょうか。度が過ぎていて、ちっとも同じでないのに、本人を連想させずにおかない芸の数々にびっくりしたのです。

 類似という概念は、あるパタンの認知にかかっていて、オリジナルそのものとは実はさほど関係ないように思われます。逆にいえば、森進一本人すら、あるパタンの部分集合に過ぎず、パタンじたいは、さらに増幅、転調し、本人をも凌ぎうる余地があると考えられます。

 コロッケが押し進めていたのがまさにそれでした。オリジナルに先駆けて、類似としての「森進一なるもの」のパタンを身をもって示していたのです。

 コロッケに限らず、モノマネ一般にともなう興趣は、このパタンの拡張性にこそ由来しているのではないか。本人という現実を踏み越えゆくそのさまは、想像力のはたらき、すなわちフィクションそのものの問題へ踏み込んでいます。身近な知人を真似るだけでも、場を和ませ、余興や遊び(場合によっては、揶揄や批判)になりうるのは、きっとそのために違いありません。

 

 今作は、自覚するともなしに、コロッケを初めて見たときの感動を反芻させながら筆を進めていました。

 似るって、つくづく不思議に思えます。。

『月刊 佐藤純子』(ちくま文庫版)はじめました!

  • 2017.03.16 Thursday
  • 23:05

 花粉、舞ってますねぇ。例年よりはましだけど。。目と鼻がもやもやして集中力が削がれます。うぅ。でも、これを越せば、すぐに春!夏が俟ちどおしい。

 

 さて、弊店にて小品展をひらいて頂いている青野さん。今月末から、あらたにグループ展へ参加なさるそうです。

 ただ、メイン会場は青森県立美術館らしく、今回ご紹介するのは、あくまで東京で開かれるサテライト企画の方です。ご興味のある方はお間違いなく!もちろん、本会場へもぜひ訪ねて頂きたいのはいうまでもありません。

 くわしくは把握していませんが、どうやらアニメーション作家の水尻自子さんとコラボなさるみたい。!?ぜんぜん想像つきません。どうなるのかしら。。

 しかも、参加リストには、仙台ゆかりの宮崎夏次系(まんが家)さんのお名前も!おぉ。こちらは柴田聡子(ミュージシャン)さんとコラボって、、こっちもよくわかりません。う〜む。

 

 ラブラブショー2

  会場:青森県立美術館

  会期:2017.4.28-7.2

  料金:一般¥1300〜

  

  東京飛地展示

   会場:カマタ ソーコ(東京都大田区荻中3丁目22−7)

   会期:2017.3.30-4.30

   料金:無料

 

 閑話休題。

 

 いっぽう市内では、知人のイラストレーターが個展をひらきます。それにあわせて、、というわけでもないのですが、近ごろ出版された、当人の著作を弊店でも取り扱います!

 

 

 『月刊 佐藤純子』佐藤ジュンコ 著、筑摩書房、2016、¥950

 

 いまだと、フリーペーパーの『月刊 佐藤純子』発売記念号、そして文庫化記念限定しおりもおつけしております〜。おとく!

 

 

 著者が、2009年から配り歩いてきたフリーペーパーをまとめたものです。失敗談やら仙台の一断面やら、身辺雑記がまんがに綴られています。振り返ってみると、けっこうなボリュームです。ちなみに、弊店もちょっとだけ出てきます。なつかしいな。

 

 話は前後しますが、著者の個展中にはイベントがいくつか目論まれており、うち一つにはぼくも登壇する予定です。著者の作業風景を肴に、根ほり葉ほり聞き出します。っていうか、某NHKの「漫勉」スタイルをやってみたいってだけですけど!タナランさんには、撮影やら機材などお手間おかけします。。

 

 TURNAROUND企画展覧会 佐藤ジュンコ(38)

  会期:2017.4.4-4.16(月曜定休)

  会場:Gallery TURNAROUND

  備考:4.4.19:00- オープニング新年度会(¥1000)/4.11.19:00- アーティストトーク(ゲスト 高熊洋平)/4.15.19:00-本を肴に酒を楽しむ会(マスター 小川直人)

 

 ジュンコさんのまんがは、一般的にはいわゆるコミックエッセイに分類されそうです。このジャンルは、西原理恵子(『毎日かあさん』)や細川貂々(『ツレがうつになりまして。』)いらい、めっきり立派な市場に育ちました。先達には無論、1980〜90年代のいしかわじゅん(『フロムK』)やとりみき(『愛のさかあがり』)、あるいは岡崎京子など存外多くの作家を数えることができます。それでもやはり、輪郭が自明になったのは2000年代に入って、先述した西原たちからではないでしょうか。というのも、爾来、様式や流通のあり方が膠着したように見受けられるからです。表情に乏しい点のみの目。家族や病気などのワンテーマ主義。まんが誌以外の、ターゲットを絞った連載等々。

 かたや『月刊 佐藤純子』はというと、点目は踏襲されているものの、無責任なフリーペーパーが出自のゆえか、テーマは拡散し、ひとつには収まりきりません。流通だって行き当たりばったりです。けれど、気まぐれに描き、配りあるくそのプロセスにこそ、商業作品では不可能な本書の魅力が由来する、そんな気がしてなりません。

 そこでは、内容はもとより、生産と流通の形式(リズム)までもが、ふだんの何気ない暮らしぶりと同期しています。日常がまんがに綴られる一方、まんが自体もまた日常へ溶けこんでいるのです。両者は見境なく折り重なり、今ここが多重化します。まんがは、彼方に夢想される異世界なのではなく、目の前の、まさにこの世界が同時にまんがでもありうるのです。

 例えば、三本しか指の描かれないキャラたち。彼らを思うともなし、ジュンコさんの手もとを覗くと、見たこともない指使いでペンを握っていて、驚いたことがあります。まんがにつられて日常を顧みたら、うっかり踏み外してさらに傍らの別世界へ不時着してしまったかのようでした。ともあれ、その筆遣いを眺めるうち、これと比べたら案外三本だけでもこと欠かないのかもしれない、そう思いはじめている自分に気がつきました。まんがは、日常の秩序をこともなげに再配置して人をそこで遊ばせます(ケンダル・ウォルトンの「ごっこ(遊び)理論」を参照。『フィクションとは何か』等)。

 まんがが手渡されるたび、世界は多重化し、日常一辺倒のままではいられなくなります。輻輳する世界によって、著者も読者もあらぬ方へ逸脱を余儀なくされるのです。今回の文庫化もその賜物だったりするのかもしれません。

 すると、本書の身上は、ネタ(内容)そのものではなく、かえってその外部、つまり、日常とまんがが節操なく混じり合う現実のプロセスにこそ懸かっている、やはりそう考えられそうです。だから、話数を仕切りなおすたび自己紹介を繰り返し、しきりと語りかける話法が採用されるのでしょう。外部が尊重されているのです。この性向は点目の機能にまで及んでいます。余計な感情移入を防ぎ、読者をまんがの外に留めおくのです。

 ちなみに、一般的なコミックエッセイの場合も、内面の回避がおそらく点目の理由です。ネタ(ワンテーマ)の効率的な伝達にとって、複雑な心境は障碍でしかありませんから。ただしこんどは逆に、読者はネタへ、つまり作品内の消費へ促されます。ネタ(ワンテーマ)を軸に編まれた構成や媒体が、そう仕向けるのでしょう(点目そのものはニュートラルな記号だが、おかれる環境や文脈に応じて役割を変えうる。いわばヤコブソンいうところの「シフター(転換詞)」だ)。

多夢多夢茶会 秋篇!

  • 2015.11.08 Sunday
  • 13:04
 チラシと半券づくりに協力させて頂きましたー。初回からこれで通算3回め。まいど、あれこれアイデア練るの楽しませてもらっています。

 B5コピー用紙を二ツ折。バビューンとブランコが振り抜けてゆきます。

 今回は、アニメ「アルプスの少女ハイジ」(高畑勲演出)のオープニングから超ド級ブランコを拝借しました。当作では地平線を上下させて、縦にパンしていたのを、右めくりのチラシにあわせて横へパン。さしずめキーフレームを4つ並べてアニメーションもどきができればな、と。チラシなので情報提供すべく、ちゃっかり動線に視線誘導も託してます。あと、アニメでは小鳥(種類が不明)がハイジに併走してましたが、ハトに代えました。宮崎夏次系さんのまんが「線路と家」に触発されまして(ちなみに彼女は小牛田出身で仙台の宮城野高校卒)。

 表紙。


 中味。でこれを捲ると、、

 裏表紙では、手が滑って落下しちゃいます。。
 、、じつは半券へ続きます。



 アニメ同様、雲に着地!(表)
 でもやっぱり落ちます!!(裏)



 イベント当日まであと2週間あまり。予約・お問い合わせは、こちらまで。
 e-mail : tamtamchakai@gmail.com 
 携帯電話 : 09095373142(結城)

 ところで先般、『この世界の片隅に』(
こうの史代)のアニメ映画化を話題にした矢先、こんどは『聲の形』(大今良時)のアニメ映画化というニュースが!しかも、監督が京アニの山田尚子さんだとか。いやはや、来年はえらい年になりそうです。最近、京アニの『CLANNAD(クラナド)第1期 第2期』をがんばって完走したのですが((全49話もある。。第1期は忍耐のひと言)、山田さんと高雄統子さんの演出回はやはり別格だったのでした。第2期16話の渚とそれ以降の汐の作画がとにかくすごい。原画と中割を誰が担当したのか知りたい。。
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『マゼラン・マガジン』第3号出来!

  • 2015.06.19 Friday
  • 23:13
 懲りずにまたつくってみました、チラシ代わりのフリーペーパー。まるまる一年ぶりです。
 市内要所で配布させて頂くつもりなので、どうかお手にとって頂けたら幸いです〜。

 表向きはいつもどおり手抜き感溢るる体裁。四ツ折にしたA4版コピー用紙が2枚です。


 ひもとくと黒々。細かいトーンは潰れちゃうので、代わりにハイライトで小細工してます。

 生まれて初めて墨を入れてみたところ、つい調子に乗ってまっ黒に。いつもの白々しい誌面から様変わりしてしまいました。。内容はともかく、インクの質量だけは大サービスです。
 おまけに、フリーのお絵描きソフト(FireAlpaca)にも手を出して、無闇と手数が増えたり。。透視図法だけなら手書きで十分だけど、ガウスぼかしで被写界深度までだせると知るや、もう半狂乱。やたらめったら演出つけてしまいました(そもそもまんがを描くようになったきっかけが望遠パースの巧みな山田尚子のアニメなので)。



 中味は、例によって本の一節から着想をえて仕立てたまんがです。今回はウィトゲンシュタインが遺したメモ。

 こんなことがあった。大人が子どもに何度か、絵を描いてみせて、「これは男の人」、「これは家」などと言ったのである。すると子どもも線を何本か引いて、「じゃ、これ、なあに?」とたずねたのだ。(『反哲学的断章 文化と価値』丘沢静也 訳、青土社、1999)

 哲学者のアレゴリーとして、素朴ゆえにこそ根底的な問いを発する子どもが描かれた条りです。ところが、どうもそれだけの意味には留まらない気がしてならず、ながらく頭の片隅を巣食って今にいたります。たぶんここには、著者本人による言語ゲームのアイディアはもとより、精神分析における親と子どものテーマ(転移や大文字の他者など)、それからもっと一般的にカントの図式、ドゥルーズのダイアグラム(ヴァールブルグの情念定型やゴンブリッチの図形のはなしも含めていいかもしれない)など盛り沢山の問題がはち切れそうに圧縮されて感じられるからなのだと思います。なので、まんがでは積年の妄想がだだ漏れしています。
 たとえば、ちゃぶ台(テーブル=タブロー=舞台)の上は、ことばや作法が往き交い継承される、大人の社会。人はそれを取り囲むように周到に配され、役を負います。かたや、ちゃぶ台より下は子ども(や動物なんかも)が大人の目を逃れる遊戯空間(かくれんぼ!)。父から娘へ何かあるものが命名され受け継がれるにしろ(愛の要求へのかりそめの答え、まんがでは母の形象)、いずれ誤配を重ねては(ステルス機じゃないって言ってるのに、子どもはそれに執着する)意味すら失い、あげく身体によるアクションにまで変容してしまいます。意味づけられたかに思えた記号は、大人の知らぬ間に、子どもの遊び道具、単なるものとして扱われ、あてどなく空へ放り出される。
 ちなみに、大人もときには、子ども=動物たちと肩を並べることがあります。それは、午睡がてらごろんと横になるか、端的に臨終した折りです。ルールや責任から解かれ、社会から撤退するいっとき。まんがの情景は父の一周忌です。最後のショット、つまり孫に当たる少年の後ろ姿は、おそらく亡くなった父のまなざしでもあり、隣り合う4コマめ、つまり記憶のなかの父の正面像と折り重なります(リテラルにも、実際に四ツ折されてうち重なる)。
 ちゃんと検証したことはないけれど、この辺りは、小津に限らず日本映画のローアングルにも辿れそう。

 それから、登場人物については、まるきり設定を変えてますが、志村貴子のまんが『青い花』から借用(引用)させて頂きました。ちょっと思うところがありまして。。ま、また気が向いたらまとめてみたいと思います。

 最後に宣伝があります!

 かわいい装丁。

 つい先日、仙台でイラストレーターをなさっている佐藤ジュンコさんが2冊めのご著書を出版なさいました。ミシマ社さんのウェブマガジンで連載なさっていたエッセイマンガをまとめたものです。
 弊店のことも描いて下さっており、ぼくもいぬの顔にすげ替えられて登場します。。人面犬ならぬいぬづらびと。
 新刊書店をはじめ、市内各所、もちろんうちでも扱っています。ぜひに!

 『佐藤ジュンコのひとり飯な日々』ミシマ社、2015、¥1000+税。

 来月頭には、ジュンコさんといがらしみきおさんの対談もあるそうです!会場はご近所のセンダイコーヒーさん。くわしくはこちらで。

 日時:2015.7.3 開場18:30-/開演19:00-
 会場:センダイコーヒー 18:30/開演19:00/終了21:00予定
 入場料:¥1500(付ワンドリンク)
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Book!Book!Sendai2015「私的研究本」はじめました〜

  • 2015.06.01 Monday
  • 00:00
 本題前におしらせ。。

 かねて告知して参りましたが、いよいよ今月の25日をもって、旧URLは閉鎖されることになっています。今後は、引っ越し先である当URLで記事を更新して参ります。どうかこちらでもよろしくお願い致しますー。

 それから、『美術手帖』の連載テクスト、椹木野衣さんによる「後美術論」。その最新記事(2015年6月号)に、宮城にゆかり深い、山内宏泰さんと高山登さん両名が大きく取り上げられています。地元びいきをさし引いてもこれは必見ですよ!
 とりわけ後者については、作家論として重要な指摘が随所でなされ、否応なく引き込まれてしまいました。高山さんとえば、キャリアに相応しく従来さまざまに論評されてきましたが、間違いなく今後はこのテクストを避けて通るわけにはゆかなくなるのではないかしら。。
 日本の彫刻史上には、西洋にいう「マッス」が見受けられない、そう発言する高山さんを受け、椹木さんは、彼を日本固有の問題を自覚的に引き受けた作家とみなします。つまり、表面的な「ヴォリューム」しか扱ってこれなかった歴史の事実にどう応接しうるか、そう問うことから高山さんの作品を読み解くのです。そして返す刀で、いわゆる「もの派」との違いを鮮明にします。「もの派」が「マッス」を観念的に実現(しようと)するのに対して、高山さんはあくまで日本の条件に留まり、枕木による線的かつ離散的なインスタレーションにこだわる、という具合に。
 ちなみに、彼の弟子筋にあたる青野文昭さんにも、同様の傾向が受け継がれており、、というか、より顕著に露呈しているので(リテラルに空っぽな素材、箪笥や車が頻用される)、この辺はもっと展開できそうです。

 じつは、くだんの高山さんの引用は、5年前に青野さんとぼくがインタビューさせて頂いたおりの一節です。かなりざっくばらんにお話し頂いているので、ほかでは伺えないようなこともちらほら。よかったら、SARPのホームページからご覧頂けます。(→「高山登インタビュー 美術・教育・文化」

 さてさて、閑話休題。

 奥の面陳3冊のほかにも、関連本を数冊見繕ってみました。


 掲示案内用のフォーマット、ちょっとアレンジして落書きも足してみました。

 6月いっぱいかけて、Book!Book!Sendai2015(以下BBS)の企画「私的研究本」が始まります。いろんな方々がセレクトした3冊が、市内41ヶ所にて展示されます。恥ずかしながら、弊店も末席を汚しております。
 正直とくべつ「研究」してきたものなんて何にもなくて、勝手気ままにばかり読んできたものだから、あらたまってテーマを決める段になり、はて、、と。セレクトといっても、完全にでっち上げ。妄想の域を出ていません。とほほ。でも、たぶん書評と区別して「私的研究」というからには、ツィッターのつぶやきみたいなものだと考えて頂ければ、幸いです。

 ほかにも6月中はBBSのイベントが目白押しです。詳しくは公式ホームページをどうぞ。

*** 「私的研究本」案内 ***

会場 書本&cafe magellan(マゼラン)
テーマ 線が、たとえば顔になるときについて
研究者 高熊洋平(マゼラン店長)

BooK1 シャルル・ル・ブラン「感情表現に関する講演」『西洋美術研究』第2号、三元社、1999、pp.146-156 所収
BooK2 『復刻版 観相学試論』ロドルフ・テプフェール、オフィスへリア、2013
BooK3 『人及び動物の表情について』チャールズ・ダーウィン、岩波書店、1931

A1. あなたの研究について教えてください。
 
 大人が子どもに何度か、絵を描いてみせて、「これは男の人」、「これは家」などと言ったのである。すると子どもも線を何本か引いて、「じゃ、これ、なあに?」とたずねたのだ。
(ヴィトゲンシュタイン『反哲学的断章 文化と価値』丘沢静也 訳)

 線ってなんだか気になります。ぽーとしているせいか幼少のころから、線が伸びているとついあとをついていってしまいます。電線の影や街角の落書き、それにはっぱの葉脈。そうそう、クモの巣も。そうこうするうち、いつの間にか関連する本まで集まっていました。そこで今回は、誰しも生まれるなり否応なくとらわれて最期まで縁の切れない線、すなわち穴のふちやら皺からなる顔をテーマにピックアップしてみました。(★1)要は、特別な研究などでは毛頭なく、単なる気まぐれの寄せ集めに過ぎないというわけで、、あしからず。


A2. この3冊はどんな本ですか?

 顔は、画家にとって一大事でした。アルベルティやレオナルドなど、ルネサンス期の画論にもしばしば顔を描く難しさが説かれています。わけても17世紀には、アカデミーの立役者ル・ブランが表情のありようを豊富な線画とともに体系立ててみせました。「感情表現に関する講演」がそれです。やがて出版されるに及び、画家のみならず他分野、たとえば俳優の演技指導にまで広く影響をもたらします。
 さて、ル・ブランは、往時の生理学(とくにデカルト)を踏まえながら、内なる情念がいかに目に見える表情を導くか整然と分類しています。まるで内面が過不足なく外面に現れうるかのように。彼にとって表情とは、情念とじかに通ずる透明な符牒です。

 ところが、およそ1世紀半後には、まったく異なるアプローチが現れ、急速に普及します。いわゆるまんがに見られるキャラです。テプフェールは、コマ割りまんがを発明した最初の作家であり、かつ明晰な理論まで残しました。『観相学試論』です。彼はこう述べます。「あらゆる人間の顔は、どんなに幼稚に、下手に描いたとしても、必然的に、線で描かれたというそのことによって、完全に特定しうるなんらかの表情を持つ」。もはや、内なる情念など端からあてにされません。かえって、外面を描き、見るというその遂行こそが、そのつど内面なるものを引きよせるというのです。表情と情動の呼応は不透明になるほかなく、つどに従い新たな関係を切り結ぶことになります。

 そして、さらに四半世紀のち、『人及び動物の表情について』が世に問われます。画論とは趣が異なりますが、これもまた表情と情動の対応をあらためて探りなおす試みになりえています。たとえば、およそ人間であれば、文化圏の別なく、怒ると上唇をあげては口角をさげ、犬歯をあらわにします。ダーウィンによれば、敵対する動物を噛むなり威嚇していた時代の名残だといいます。つまり、表情とは、意識下で反復し学習された習慣が文脈をこえ情動を跨いで転用され来ったものなのです。また、それがいくつも連合することによって、複雑かつユニークな表情が文化ごとに育まれる次第にもなるわけです。

 テプフェールとダーウィン。彼らの足並みは、インクと皺という素材の違いこそあれ、頭部に貼りつく線がいかに表情を結びうるかそう問う一点につき揃っていました。ル・ブランが疑いすらしなかった表情の一意性などには見向きもしません。これは、彼らの資質以上に歴史の要請だったようにも思えます。というのも、18〜19世紀は、革命を経たヨーロッパが資本主義を加速させ、急激な大都市化を被った変動期です。折しも妖しげな観相学が上へ下へ大流行し、あげく俗受けするあまり、人相で雇用を左右する向きもあったとか。(★2)不特定多数の人間が流動し、得体の知れない顔が街に溢れたとなれば、それもやむをえない悲喜劇だったのかもしれません。旧来の安定した意味が顔から失われ、それが自明化した時代。意味を欠いた線は避けようのない所与であり、テプフェールらは、そこからロジックを鍛えなおす必要があった。アドホックにでも表情に見通しをたてるために。もとより観相学からは距離をおいて、ですが。

★1 選書した3冊のほかにもいくつか関連書を。。
テプフェール:
 『テプフェール マンガの発明』ティエリ・グルンステン、ブノワ・ペータス、ロドルフ・テプフェール、法政大学出版局、2014
 『M.ヴィユ・ボア』ロドルフ・テプフェール、オフィスへリア、2008
 『芸術と幻影』エルンスト・ゴンブリッチ、岩崎美術社、1979
認知:
 『顔を科学する 適応と障害の脳科学』山口真美 柿木隆介 編、東京大学出版会、2013
 『赤ちゃんは顔をよむ』山口真美、角川学芸出版、2013
思想:
 『千のプラトー』中巻、ジル・ドゥルーズ、河出書房新社、2010
 『全体性と無限』下巻、エマニュエル・レヴィナス、岩波書店、2006
美術:
 『画家のノート』アンリ・マティス、みすず書房、1978
 『エクリ』アルベルト・ジャコメッティ、みすず書房、1994
まんが・アニメ:
 『リトル・ニモの大冒険』ウィンザー・マッケイ、パイ インターナショナル、2014
 『この世界の片隅に』前後編、こうの史代、双葉社、2011
 『映画けいおん! 名場面線画集』京都アニメーション、2012
線:
 『ラインズ 線の文化史』ティム・インゴルド、左右社、2014


★2 スイスの神学者ヨハン・カスパール・ラファーター『観相学断片』の熱狂的な受容。その顛末は次のエッセイに詳しい。
高山宏「< 神の書跡 >としての顔」『メデューサの知』青土社、1987所収。


***

追記

 NHKのみなさん。

 あす6月2日、NHK総合のテレビ番組「てれまさむね」で「私的研究本」の紹介をして下さるそうです。きょう弊店にまで取材にいらして下さいました。ありがたいことです(スタッフの方々には本当おつかれさまでした。揉み手NG出してごめんなさい)。番組じたいは18:10〜、紹介映像は18:30ぐらいじゃないかということです。よかったらご覧下さいませ〜。

「多夢多夢茶会 春篇」チラシ出来!

  • 2015.03.02 Monday
  • 20:28
 まだまだ風は冷たいけれど、日ごと長くなる日ざしを実感しては無性に嬉しくなってしまいます。春ももう間近。。というか、いっそ夏が待ち遠しい。耐性なんかないくせに、痴呆的に暑い夏が恋しかったり。なぜか昔から夏好きです。

 昨秋に引き続き、パフォーマンス・イベント「多夢多夢茶会」のチラシを作らせて頂きましたー(前回の記事はこちら)。例によって、お茶を片手に、多彩な組み合わせのパフォーマンスを楽しめます。なんと、今回は落語も!

 多夢多夢茶会 春篇

 日程:2015.4.12
 時間:12:30開場/13:00開会
 会場:多夢多夢舎中山工房
 料金:¥2000(含ドリンク)/小学生以下¥500
    20席限定・予約優先
    ※完売後立ち見席¥1000を若干販売
 出演者:清川波之丞(落語)
     斉木良太(パフォーマンス)
     マヤマ(ジャグリング結城敬介&トランペット南部大地)

 さて、チラシはというと、B5版コピー用紙を二ツ折。まいど白いチープなつくりで恐縮至極ですが、個人的にはそれが愛おしかったりします。

ttt20
 表表紙。チョウって、エネルギー源の蜜だけでなく、神経伝達に使うナトリウムも頻繁に補わなきゃなりません。だから、地表に停まってはよく啜っています。しかも、ときおり人にまで舞いおりて、汗や涙から摂取することも。くすぐったいけど、めんこい。

ttt21
 裏表紙。表シーンのカットバックです。目を凝らすと、「お」の点が青虫になってたり、虫たち潜んでます。ところで、一般に昆虫は、光の見える帯域が人間とは異なります。じつは、同じチョウのあいだでさえ見える世界が違うらしい。モンシロチョウは赤が判別できない代わりに、紫外線が見えます(人間には同じ白い翅に見えますが、彼らからすれば、雌の翅は紫外線の色!(いったいどんなだろう?)をしているのです)。かたやアゲハチョウは、紫外線ばかりか赤色も見えるのだそう。臭いにも敏感で、雌雄を鼻、、じゃなくて触覚と手(というか脚)先で嗅ぎ分けています。

ttt22
 見開き本文。前回のレイアウトが望遠パースで奥行きを約めていたので、今回は画角を広めにとって、対象に寄ってみました。おまけに、二ツ折にしたことで、カット割りができるので、描いてて楽しかったなぁ。

ttt23
 虚実の境へ誘われるがまま紛れこむって、ベタベタなテーマで気恥ずかしい限りですが、わりあい好きなのです。。ちなみに、表と裏の表紙は、消失点を背(折り部分)で一致させ、およそ左右対称の図柄になるようあしらいました。というのも、このチラシじたいを、羽ばたくチョウに見立ててみた、、のですが、う〜ん、よく分からないですね。とほほ。

2015.3.9 追記
 追って、当日配布予定の半券も出来ましたー。
ttt2ti
 表から裏へひっくり返すと、女の子の与り知らぬ間に、はねを休めていた蝶が飛び立ってしまいます。
shiori0
 調子に乗って、しおりヴァージョンもつくってみました。「おしぼり」とか「おてもと」みたいに「おしおり」!
 とまれ、そよ風って春っぽくてよいなぁ。。

3koten
 それから個展をみっつご案内。みなさん、過去に数度、弊店でも展示して頂いたことのある作家さんたちです(往時の記録→青野文昭さん樋口佳絵さん川村智美さん)こちらもぜひ!

1. 「パランプセスト vol.7 青野文昭
 2015.2.14-3.14(日月祝休)
 11:00-19:00
 入場無料
 gallery αM(東京都千代田区神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F)

2. 「樋口佳絵個展 ぱんぱかぱーん」
 2015.3.17-29(月曜休)
 11:00-20:00(日曜-18:00)
 入場無料
 gallery&atelier TURNAROUND ターンアラウンド(仙台市青葉区大手町6-22 久光ビル1F)
 ※ 2015.3.21.18:30-レセプション・パーティーあり(参加費¥500 含1ドリンク&軽食)

3. 「Fitting Room 纏う映像、惑わす身体(公開制作 川村智美)」
 2015.3.14-29(月曜休)
 9:30-17:00
 入場無料
 宮城県美術館創作室ロビー(仙台市青葉区川内元支倉34-1)
 ※ ワークショップあり(3.21.10:30-12:00/13:30-15:00、3.22.10:30-12:00、3.28.10:30-12:00/13:30-15:00、3.29.10:30-12:00/13:30-15:00)
  映像上映あり(3.21、22、28、29.10:00-16:30)

「H通文庫 2014・冬」@あゆみBOOKS仙台店

  • 2014.11.27 Thursday
  • 16:13
 市内にある貴重な新刊屋、あゆみBOOKSさん。その一店舗が近々畳まれることになりました。広瀬通りに面したお店です。
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 はす向かいには、カフェ・ベローチェがあって、購入した本を片手に一息つく方も多かった。

 いまや青葉通り一番町にも構えていらっしゃいますが、こちらが初めてのご出店でした(2000年ぐらい?)。ちょうど、立ち寄りやすい中規模店が減少していた頃合いだったので、重宝した記憶があります。その後も、仙台では珍しい深夜営業をお始めになったり、何かにつけてお世話になったものです。
 それが、来る12月15日をもって閉店とは。もうひと月もありません。やっぱり寂しいな。。
 でも、その前に、、最後のフェア「H通文庫 2014・冬」が同店にて開催中です。本を生業にする31名の方々が、各自文庫を1タイトル選んで紹介文をお寄せになっています。お手製の帯に刷られるほか、小冊子(フリー)にもまとめられています。ぜひ、覗いてみて下さい〜。
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 おもてうら。

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 中身。
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 いかにも手づくりの袋とじですが、覗きこむと、イラストがあしらわれています。ナイフで開封するとこんなかんじ。凝ってるなぁ。佐藤純子さん画。
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 寄稿者には、あゆみBOOKSの店長さんや地元書店員さんをはじめ、夏葉社の島田潤一郎さんなど東京の方々にまで広がっていてじつに多彩。一覧するだけでも楽しめます!ちなみに、末席には拙文も連ならせて頂いています。よかったらご笑覧くださいませ。。以下転載。

『わたしの生涯』ヘレン・ケラー 岩橋武夫訳/角川文庫(本体781円+税)

 サボテンを撫でて一言「美しくておいしそう」

 この自伝に描かれるのは、本人さえ見たことも聞いたこともない事柄ばかりです。むろん嘘ですらなく、著者が盲聾唖だったからです。そのせいか、叙述が優れて触知的。故に、他愛ない描写であれ、視−聴覚的イメージを思い浮かべて早々に見切ってしまうのは誠に勿体ない。ヘレンが手探りで世界を触診したように、彼女の言葉もまた、直に触れられ読み解かれるのを待ち受けています。「藤に紛れてヨタカが囀る」とあれば、小刻みな律動が蔓から伝わるという具合に。本書は、半生を振り返り俯瞰する以上に、細部に浸って味わうのが相応しい。
 高熊洋平(書本&cafe magellan(マゼラン))

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営業時間
10:00am-20:00pm
土日のみ-19:00pm
定休日:火曜
仙台市青葉区春日町7-34
お店のホームページはこちらです。

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