第二回 小岩勉 写真展 第2期 続

  • 2012.08.04 Saturday
  • 12:47
 本題まえにお知らせがふたつ。

 まずはお盆期間中の営業につきまして。
 例によって通常どおりです。予報によれば暑さも一段落するそうですし、ぜひ遊びにいらして下さいね!お待ちしておりますー。
 営業時間は、平日が10:00〜20:00。土日のみ10:00〜19:00です。定休は火曜日、お間違いなく!

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 『仙台っこ』盛夏号(第105号)今野印刷、2012.8、¥300(税込)

 仙台の今野印刷さんが発行するタウン誌『仙台っこ』で弊店を紹介して頂きました。
 記者さんには何度も足を運んで頂きました。感謝!ありがとうございました。
 市内各書店で販売しています。よかったらお手に取って下さいねー。

 閑話休題。

 先月から始まりました、小岩さんの写真展。前期に引き続き、昨年『世界』の扉を飾ったオリジナルプリントです。予定では10月まで展示しています。よかったらぜひご覧下さいね!
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 水平に6点、離れてもう1点。見所は中央4点めです。これを境に世界が一変します。
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 sendai 2011
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 matsushima 2009
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 iwate 2011
 まず冒頭3点では、まなざす角度を次第に降下させ、世界のテクスチャが走査されます。張り巡らされる電線、繁茂する小枝、そして耕された大地。まなざしの向きに拘らず、世界はどこまでも波打つ起伏で満たされています。起伏の伸長に応じて、まなざしもまた無方向に拡散せずにいられません。世界とまなざしを隔てる何ものもここには認められません。つまり、未だまなざしは世界を対象化しうるだけの距離を獲得しておらず、いわば、世界じしんがおのれに安らい、まなざしと未分化なまま微睡んでいるのです(このテーマは写真集『野守の鏡』をはじめ90年代から一貫しています)。
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 iwate 2011
 ところが、くだんの4点めにさしかかり再び空を仰ぐや、世界はその身をみずから揺り起こし、まなざしを僅かに引き離します。ふいに日傘が突出し、中空に支点を仮設、世界はこれを梃子に人々の頭部を吊り支え、一挙におのれを仕切り直すのです。この際まなざしは、日傘、つまり世界のリミットへ同一化することでかろうじて世界から身を引き剥がしうるでしょう。こうして世界はまとまりを確保し、まなざしにひとつの方向=意味がもたらされるのです(2004年以降、ランドマークを写し込むなど「STAND」シリーズで顕著に伺える傾向です)。
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 wate 2011
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 sendai 2011
 仮設の支点に身を据え、そこから世界の再構造化に立ち会うこと。これは5点めでも確認できます。群生するつぼみ、その頂のひとつにフォーカスが当てられ、足下に萌える残余のつぼみを悉く吊り支えるのです。
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 iwate 2011
 最後の写真は一点透視が強烈です。消失点が負の支点となり、一切がそこへ消え入るよう統べられます。葬列はもちろん、草木すら、すなわち無方向へ拡張するはずのテクスチャさえもが一点めがけて収斂させられているのです。死によって去勢されたまなざし、その見事な一例といいうるかもしれません。
 ただそうすると、モチーフである葬列そのものを見落とすはめに陥りかねません。葬列が刻むリズムを遠近法から合理的に割り出せるわけがありません。それどころか、参列者が遠慮がちに距離を取りあうこの微妙な間隔は、実際に彼らの背中を追う過程をへて初めて知りうる質です。間隔は、参列者どうしを寄る辺なく隔てるいっぽう、同時にリズムを生み出して互いを結びつけます。独自の次元を紡ぎだすのです。
 ところで、彼らと歩調を合わせるや、にわかに葬列までの空白と参列者どうしの間隔が見分けがたくなってきます。あるいは、分別する基準が急速に曖昧になるのです。観者(撮影者)もまた巻き込まれずには済まされません。いつしかともに葬列のリズムを刻み出しています。すると、背後に植わる木立もじつは葬列のリズムを緩くなぞっていたことに今さらながら思い至るのです。世界中に反響するリズム。これを辿るはて気づけばみずからリズムの一翼を担ってしまうこと。まなざしが生起するのはここをおいて他にありません。

 死を性急に象徴化する一歩手前で、そっと歩み寄ってリズムを新たに生み出すこと。優れて誠実な鎮魂のあり方です。そして、しばしば安易に死と結びつけられがちな写真というメディア、あるいはそのディクールへの痛烈な批判にもなりえているように思われます。

第2回 小岩勉 写真展 第2期+追記2012.7.10

  • 2012.07.09 Monday
  • 14:26
2012.7.10 追記

 肝心な告知をし忘れてました!
 7/14(土)は閉店時間が早まります。この日のみ10:00-17:00の営業になります。
 下述のとおり、椹木さん×青野さんのトークイベントがあるためです。よかったらこちらへも遊びにいらして下さいね。
ご迷惑おかけ致しますが、どうか宜しくお願い申し上げます。


 本題前にいくつかお知らせがありますー。

 先週、ブルーベリーのスノーボールを入荷いたしました。3つ入り230円です。
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 つばめどうさん作
 もっと早くブログでご紹介できればよいのですが、瞬く間に残りわずかとなってしまいました。まだの方、ぜひお試しあれ!

 先週末から、市内のGellery TURNAROUNDさんで青野文昭さんが個展をなさっています。新作ぞろい。
 例によって、拾得物を素材に「修復」が試みられています。ただ、今回は津波を被った瓦礫が採用されています。
 ご本人としては、震災の予断はできる限り避けたいようです。しかし、事後的に震災なるものが浮かび上げる可能性は十分にありえます。かりにそうだとしたら、それはいかなる形象を結ぶのでしょう?あるいは逆に、震災などなかったかのように瓦礫は別物に昇華してしまうのでしょうか。
 ともあれ、じっくりまなざすことから始めるよりほかに術はありません。
 ぜひ多くの方にご覧いただけたらと思います。
 しかも、美術批評家の椹木野衣さんが来仙なさいます。今週末7/14(土)19:00から、青野さんとのトークが組まれているのです。これまた必聴です。不肖ながら、わたくし高熊が司会役を務めさせて頂きます。どんなお話を伺えるのか今から楽しみ!
 なお、青野さんには、これまで弊店でも何度か展示して頂いています。ご興味のある方はこちらをどうぞ。

 「青野文昭 展 どくろ杯・II ―他者性と不可避性について―」
  会期:2012.7.6-7.22
  時間:11:00-20:00(金土-22:30/日-18:00/月休廊)
  場所:Gellery TURNAROUND(仙台市青葉区大手町6-22 久光ビル1F)
  備考:「トークイベント 椹木野衣×青野文昭」2012.7.14.sat.19:00-21:00/¥500(tel.022-398-6413)


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 それから、仙台文庫の別冊がつい先月に出版されました。
 『月刊佐藤純子』。仙台の名物書店員佐藤純子さんによる、ゆるゆるのエッセイマンガです。なんと伊坂幸太郎さんが彼女にインタビューする記事まであります。解説はライターの南蛇楼綾繁さん。
 弊店でもお買い求め頂けます。987円(税込)。よかったらどうぞ!

 ちなみに、くだんの南蛇楼さんが尽力なさっているイベント、石巻ブックエイドがこの21(土)、22(日)に開かれます。
 そこで、一箱古本市の参加者を募集していると伺いました。出店者と助っ人さんともにまだまだ受け付けているとのことです。
 ご興味のある方はぜひ!詳しくは一箱本送り隊のホームページをご覧下さい。

 さて、閑話休題。
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 先週末に展示替えを済ませ、あらためて小岩勉さんの展示が始まりました。
 前回に引き続き、昨秋発表され、年末に論題誌『世界』の扉写真として採用されたものです。
 さしあたり、10月まで継続する予定です。どうぞご覧下さい。
 写真の委細などはまた後日。。

第2回 小岩勉 写真展 第1期

  • 2012.05.07 Monday
  • 01:32
  本題のまえに、いくつかお知らせです。

 「きょうのおかし」にくろねこクッキーを入荷しました。
 2匹入りで200円!めんこいですよー。
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 焼き菓子つばめどうさん 作

 今月から、仙台市内の複数のギャラリーを舞台に「ゼロ・アートプロジェクト」という複合イベントが計画されています。2ヶ月にわたり、展示やトークショー、そして上映会が催されます。つい二日前には、先陣を切ってゼロ次元展が始まり、主宰である加藤好弘さんのパフォーマンスで幕を開けました。
 あいにく仕事の都合で、ぼくは上演を拝見することは叶いませんでした。とほほ。。でも、ギャラリーのご厚意により、パフォーマンスで使った映像を再上映して下さり、十分堪能させて頂いたのでした(関本さんに多謝!)。
 ゼロ次元全盛時の記録映像と、加藤さんが1970年に制作した映画「いなばの白うさぎ」です。両者が、ディプティックのように横に並べられたまま同時に映し出されます。本来なら同時録音されている箇所があるはずですが、今回はそれがすべて省かれ、終始大音量のBGMが被せられていました。あくまでパフォーマンスを演出する舞台装置として編集し直されていたようです。
 個人的には「いなばの白うさぎ」を完成当時のまま確認したかったので、ちょっとがっかり。とはいえ、勉強になったのはいうまでもありません。なにしろ、当時の動画を目にするのはこれが初めてなものですから。それに、若き日のダダカンさんも拝見できたし。それから、はしゃぐ秋山祐徳太子さんも!
 男も女も白昼とにかくみな裸、そんな彼らが、数珠つなぎになって妙なステップを踏んだり、おなじ裸の人間をバケツリレーのように次々と受け渡したり、単純な所作を儀式としてただひたすら繰り返す、映画はこの連続で構成されています。意外だったのは、熱狂や秘教めいた雰囲気がほとんど見受けられない点です。文献や写真からだけでは、この和気藹々とした朗らかさには想到しかねます。どこか運動会、もしくはお遊戯会というか、無邪気な微笑ましさが画面中に溢れているのです。それは、出演者ばかりでなく、それを見守る観衆にも指摘できます。思いのほか、みな落ち着き払って鑑賞しているのです。通りすがりらしき人々も困惑した表情を見せません。どうやら、さくらも動員していたみたいですが、それにしてもこの混乱のなさには一抹の動揺を隠せません。というのも、ご自身の活動について、たしか加藤さんは「街を犯す」とか「テロ」だとか過激な言動をなさっていたはずですから(こんどお会いしたら聞いてみよう。。)。
 ところで、裸の男女が列になってミニマムな所作を反復する。ピナ・バウシュの舞台にも、完全な裸体ではないものの、おなじ場面があったと記憶しています。しかし、両者の印象はまるで異なります。前者が、訓練された身体をあえて貧しい所作に急き立てて、逆接的に過剰な情動の鬱積と放電が試されるのに対し、後者はもともと貧弱な身体(おそらく全員がダンス未経験)を貧しく動かし、かえってそれに居直ることで、多幸的な共同性を生みだしているのです。表現としては、比べるまでもなくヴッパタール舞踊団が圧倒しています。ただ、ゼロ次元が醸すあの多幸感はどうにも異様です。
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 とまれ、ゼロ次元を含め、これからいろんな企画が待っています。なかには、弊店もささやかながら協力させて頂くイベントもあります。
 「ダダッ子貫ちゃん ロングヴァージョン」の上映会です。これは、去年の秋口にも市内で上映しましたが(当日の記録はこちら)、監督である竹村正人さんがさらに編集し直して下さった長尺ものです。よかったら一度ご覧になった方もどうぞー。

 日時:2012.5.15.tue.18:00-/2012.5.20.sun.15:00-
 会場:両日ともSARP(Sendai Artist-Run Space)


 そのほかイベントはこんなようすです。ぜひ!

 2012.5.4-20「ゼロ次元展」@TURNAROUND
 2012.5.15-20「前夜祭 2012仙台アンデパンダン」@SARP
 2012.5.22-6.3「2012仙台アンデパンダン展」@TURNAROUND、@SARP、@artroom.enoma、@GALLERY ECHIGO、@ギャラリー チフリグリ、@中本誠司現代美術館
 2012.6.2.18:00-「画家 石川舜トークイベント(聞き手 鈴木直樹)」@SARP
 2012.6.9-7.1「石川雷太展」@TURNAROUND


 閑話休題。

 小岩さんの展示は、ちょうど2年ぶりになります。前回は、80年代の駆け出しにまで遡って、そこから順を追って最近作までご紹介しました。
 今回は、その後に撮られた写真をご覧頂きます。初出は、昨年市内で開かれた個展です。ただ、まえの記事でご説明したとおり、プリントは異なります。今回は、昨年末に出版された『世界』別冊(「東日本大震災・原発災害特集 破局の後を生きる」岩波書店、2011.12.8)の扉に使用されたものにあたります。
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 IWATE 2010

 昨年の個展では、葬列を写したものが相当数含まれていました。印象的なのは、ここでも看て取れるとおり、決して先回りしたり、正面や俯瞰で取り押さえることがない点です。ほとんどが仰角で煽り気味に、しかもおよそ後方から撮られたものばかりなのです。まなざしは、葬列とともに彼らが歩む先へ向けられ、参列者じしんを対象化して風景から切り出すことは断じて避けられます。かえって、一歩ごと、彼らによって彩られる風景をこそ見出そうとしているかのようです。
 いうまでもなく、心情的な同化など論外です。そんな驕りはどこにも見当たりません。むしろ、ひたすらともに歩み、おのずと湧き立つ風景を介して辛うじて触れ合うこと。この誠実さは、ただ参列者に対してばかりではありません。画面に浮かび上がる風景、写真そのものへのそれでもあります。そしておそらく以前言及したことのある写真家の資質、つまり常に何ものかに遅れ続ける才能についての誠実さでもあるように思われます。
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 SENDAI 2011
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 SENDAI 2009
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 SENDAI 2011
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 IWATE 2011
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 SENDAI 2011
 とてもドラマティックな構成です。
 まず、正面性の強い電柱が、ふわっとソフトフォーカスでまなざしを受けとめます。ところが、つづく樹木は、おなじ正面性を下地にしながら逆に、鋭利かつ稠密なエッジを瞳に強迫してくるのです。耐えきれず、まるでガラスがひび割れるかのように、繁茂する葉に沿ってまなざしは散りぢりに粉砕してしまいます。この裂傷は次の画面へ波及し、稲妻が虚空を切り裂きます。するとこんどは、虚空そのものが、ぽっかり写しとられます。群生する百合をかき分けて、まなざしがその空虚へ吸い込まれてしまうのです。そして、最後の一枚では、やはり正面性が通奏低音として轟くなか、天の月光と地上の窓明かりが不思議な均衡を響かせ、まなざしは宙吊りにされてしまいます。
 ちなみに、電柱を写した写真群は、小岩さん宅からの光景なんだそうです。定点観測的に撮影を継続なさっているようです。
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 FUKUSHIMA 2011.1
 この画像では判別しづらいですが、うっすら電柱(おそらく木製の古電柱)が右奥へと連なっています。それに応じて、たわんだ電線がのび、遠ざかるごと次第にホワイトアウトしています。猛吹雪のなか撮影された風景なのです。
 目紛しく遍歴を重ねたまなざしの運動も、ここにきてじっと凝視することが強いられます。今にも掻き消されそうな電柱、このわずかな黒い滲みにすがらずには、何ひとつ見ることが叶わないのですから。吹雪に耐えるように、まなざしは見ることに耐え忍ばねばならないようです。

小岩勉写真展 第6期

  • 2010.05.13 Thursday
  • 14:14
今月あたまに展示替えを済ませました!
koiwa201005-z
長らく開いていた回顧展も、いよいよこれでおしまいになります。
この場を借りて小岩さんに多謝!
今回も、前回にひきつづき撮影地を限定する「STAND」シリーズ。写真どうしが作りだす、固有の空間をお楽しみ頂けると幸いです。
koiwa201005-1
仙台市 2005
koiwa201005-2
仙台市 2005
koiwa201005-3
仙台市 2005
koiwa201005-4
仙台市 2005

小岩さんに変わって、来月からは在仙の彫刻家、高橋健太郎さんに展示をお願いしています。こちらも乞うご期待!

kazenotoki
(「風の時編集部」公式ホームページより転載)
ところで、来たるその6月は「本の月」です。と、去年からBook! BooK! Sendai(以下B!B!S)で強引に喧伝しているとおり、今年もやりますよー。盛沢山のイベントがめじろ押しです。
B!B!S主催はもちろん、市内各所の団体やお店が参加企画を続々と予定しています。
ボクも楽しみですが、皆さんもぜひ遊びにいらして下さいね!
ちなみに、じつは先駆けて今月から始まる企画もあります。だから、正確な期間は5月15日(土)-6月30(水)。また、各種申込みは既に開始していますので、どうぞお見逃しなく!
bbs-f
主なイベントだけ抜粋すると、、

† 書店員POP大賞(5/15-6/13@仙台市内各新刊書店協力店)
† 本と遊ぼう! ブック・アイディアコンペ(5/15〜6/15@せんだいメディアテーク館内専用ポスト)
† クラシカルセンダイ(6/3〜6/5@ギャラリー ライトソース) 
† ブックカフェ講座(6/6@ギャラリー ライトソース)
† いがらしみきお マンガ工場(6/10〜6/20@せんだいメディアテーク7Fラウンジ)
† カフェ×ブックレシピ(6/11〜6/24@仙台市内協力店)
† 製本講座「紙をとじる」(6/12@せんだいメディアテーク2F会議室)
† Sendai Book Market[一箱古本市](6/19@サンモール一番町商店街)
† 「こけしと旅と本」仙台こけしぼっこ(6/26〜6/27@ギャラリー ライトソース)


詳しくはB!B!S公式ホームページをご覧下さーい!

小岩勉写真展 第5期 続

  • 2010.04.09 Friday
  • 14:07
今回は、2001年と2004年の作品を3枚ずつ展示しています。
rifu
利府町 2001
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多賀城 2001
sendai1
仙台市 2001

前者が撮影されたのは、写真集『野守の鏡』(1999-2000)が上梓された時期です。
以前お伝えしたとおり、風景の固有性を避けながら日本各地を撮り歩いたシリーズです。
ただし、この3葉に限り、シリーズを締め括るためにこそ制作されたそうです。まるで溶暗するように、サイズをぐっと窄めた理由は、そのための配慮だと伺いました。
sendai2
仙台市 2004
sendai3
仙台市 2004
sendai4
仙台市 2004

いっぽう後者の3葉は、撮影スタイルが一転しています。つまり、撮影する区画を限定し、固有の景観を断固避けないように撮られているのです。
おなじ風景でも、両者が生み出す画面はまったく異なります。
前者にとって、風景とはどこでもないどこでもよい取り替え可能な対象でした。それに応じて、撮影者=観者=主観も世界から括り出されるほかありません。どこにも帰属しない超越的な視線そのものに浄化してしまうのです。

ところが、後者にとって、風景はあくまで抵抗として見出されます。生身の身体を他所ではないここに限定すれば、自ずと摩擦が生じます。突飛な高層マンションや視界を塞ぐ高架橋は、景観を壊すに十分な存在感を放つでしょう。
しかし、もはやそれを回避することはありません。風景に闖入するに任せてしまうのです。

後者が始めて発表されたときは、数十枚の写真ほぼ全てに、同一の建造物(例えば、突飛な高層マンション)が映り込んでいました。無論それが主題として浮上するような構図にはなっていません。かえって一瞥だけでは見過ごされかねないものも少なくなかったと記憶しています。
しかし、建造物が見当たらない写真ほどその存在が気になってしまうのです。この風景だとどちらに振り向けば、くだんの建造物が見えるだろう?と。
こうして、観者は写真の間を経巡るよう仕向けられるわけです。そして、写真を渡り歩くたび、この経巡りを可能にする架空の土地が脳裏を掠めます。
それは、写真家が現実に経験した実在する土地とはもはや関係ありません。むしろ、写真家が経験した摩擦そのもの、つまり摩擦の実在感こそが観者の身体において反復しているのではないか、そう思えてなりません。

小岩勉写真展 第5期

  • 2010.03.27 Saturday
  • 21:17
長らくお待たせしました。この水曜日3/24に展示替えを済ませました。
koiwa20100327
前回の作品では、撮影地が特定されないよう周到に配慮されていましたが、いっぽう今回は容易にそれがどこか特定できる撮り方に変わっています。
というのも、撮影地のランドマークが常に写り込んでいるからです。もちろん、当地に疎ければその土地がどこに実在するかなど到底見当もつかないでしょう。しかしそれにも拘らず、ランドマークの存在は紛れもなくある土地を指し示し続け、奇妙な実在感を生み出しています。
どうやら、実在感の拠りどころは、実在する土地でもなければ、印画紙に写った映像でもなく、むしろこの両者を架橋する写真の指示機能にこそ潜んでいるようです。
なお、これらの写真は、作家による恣意的なドグマに則り撮影されています。つまり、あえて自身の可動範囲を限定し、その区画をひたすら走査しているのです。

展示作品の掲載はまた後日。もうしばらくお待ち下さい。。

小岩勉写真展 第4期 続々

  • 2010.02.04 Thursday
  • 20:08
(承前)
しかし、湿った旅情ばかりに淫しているわけではありません。かえって、とりとめなさに徹するあまり情緒は揮発し、風景そのものが露呈しつつあります。
sendai-2
仙台市 1998
ohsaki
大崎市 1998
とりわけ、雑草類の頻出が決定的です。それらは、ふだん気にもかけられません。しかしだからこそ、いつの間にか視界に忍び込み、だしぬけに風景を規定してしまいます。
繁茂する植物は、景観に様々な肌理や動勢を齎します。決して図として浮き上がることなく、端々で風景の構造を決定づけているのです。
motoyoshi-2
本吉町 1998
ところで、構造そのものは目には見えません。むしろ、画面に風景を認知できるのは、観者がこの構造に身を寄り添わせる限りの現象でしかないでしょう。
おそらく、写真家の照準はここにこそ向けられています。風景の構造、つまり視覚を成り立たせる条件です。
ほぼ全葉にわたって植物の繁茂に目が向けられ、しかも中景でニュートラルに撮影されているのはこのために違いありません。たとえ、被写体に人物など明瞭な個体が選ばれた作品にしろ、地が大きくとられ、周到に植物が横溢しています。まるで、当の個体がそこから自ずと生成してきたかのように。
kesen-4
気仙沼市 1993

先日お伝えした3月の蚤の市イベントにつき、追加告知です!
つい先ほど、ホームページが公開されました。
正式名称は「BROCANTE GALERIE Sendai(ブロカントギャルリーSendai)」です。
参加店は、仙台市内の個性的なアンティークやブック・ショップ、総勢10件。
家具や雑貨と古本が一緒になってひとつ空間を作り上げると思うと、今からわくわくします。
開催までおよそ1ヵ月ありますが、みなさま要注目です!

BROCANTE GALERIE Sendai(ブロカントギャルリーSendai)
場所:仙台PARCO 4F スペース4(仙台市青葉区中央1-2-3)
日程:2010.3.5-3.15
時間:10:00-21:00(最終日-18:00)
参加店:ISHINN火星の庭stock、青蛙洞、ノワイヨHYGGE(ヒュッゲ)、だてや、マゼラン、Morceau(モルソー)ラミンカ ミランカ
morceau
(モルソーさんのブログより転載)

小岩勉写真展 第4期 続

  • 2010.01.25 Monday
  • 12:31
予告どおり、展示作品を掲載いたします。
tsuyama
津山町 1999
kesen-1
気仙沼市 1993
この写真家には珍しく、往時の作品ではブレが多用されています。
ところが、画面は活気づくどころか、冷めた視線を喚起します。
車内灯が映りこみ、対象から安全な距離が保たれているからでしょう。旅中わけもなく車窓を見やる、写真家の姿が目に浮かびます。
kesen-3
気仙沼市 1998
motoyoshi-1
本吉町 1998
sendai-1
仙台市 1999
写真をとおして観者がなぞるのは、この写真家のとりとめのない視線を措いて他にありません。
写真集『野森の鏡』で、他愛ない風景が膨大に投入されているのは、おそらくこのためです。写真は、多ければ多いほど一枚ごとの意味が薄まり、とりとめのなさそのものを浮上させます。

次回の記事に続きます。。

緊急連絡!
明日1/26(火)〜31(日)まで(1週間弱!)小岩さんも参加なさるグループ展が市内で開かれます(以前弊店で展示して下さった青野文昭さんも出展なさいます)。
ただいま宮城県美術館で開催中の高山登展(1/23-3/28)にあわせて、彼と縁のある20〜40代の作家が集まります。
高山展ともどもぜひどうぞ!ボクは定休の明日に伺うつもりです。たのしみ。
グループ展『反響する星々』
会期:2010.1.26-31
時間:9:30-17:00
会場:宮城県美術館県民ギャラリー
主催:反響する星々展実行委員会
協力:国立大学法人宮城教育大学村上タカシ研究室
入場料:無料


ところで、まだ先の話ですが、3月に仙台PARCOで催される「ブロカントせんだい」に弊店も参加させて頂くことになりました。市内の個性的なアンティーク・ショップとブック・ショップが集まって蚤の市を開く予定です。
委細は後日お知らせ致します。乞うご期待!

小岩勉写真展 第4期

  • 2010.01.14 Thursday
  • 12:57
去る月曜日に展示替えを済ませました。
tenji100114
前回よりおよそ10年後にまとめられた写真集『野守の鏡』(1999-2000)からの数葉です。
前回までの作品とは趣きが一変しています。
日本各地で撮影されたにも拘らず(今回の展示では県内のものに限られていますが)、あえて土地の固有性が削がれているのです。
かつてもこれ見よがしの象徴は避けられていましたが、自ずと浮かび上がる固有さを排除するまでには至っていませんでした。
通して見ていると、旅をしているような気がしてきます。目の前を大量の風景が流れゆき、次々と頭の中からしがらみが剥落してゆくのです。畢竟残されるものは、透明な自己意識だけです。まるでロードムービーのようです。
写真家自身は、当時はどこか彼岸から撮影しているような気分だったと回想しています。
とはいえ、この直後に再び真逆の撮影スタイルを採用することになります。
撮影箇所を限定し徹底してその固有性に身を従わせる始めるのです。
しかし、それはまた後日の展示で触れることにします。
まずは、この第4期をご覧下さい!
展示作品の掲載は後日いたします。

ところで、定休の火曜日に七ヶ浜町まで足を伸ばしてきました。
Book! Book! Sendaiから創刊するブックカバー式フリーペーパーに向けての取材です(第0号はこんなでした)。
寒かったー。。さすがに冬の海は人気がなく、寂しいかぎり。でも、人懐こいネコがいたので一頻り遊んで大満足。
sichigahamaneko

小岩勉写真展 第3期 続々

  • 2009.11.21 Saturday
  • 13:12
(承前)
遠地、それも政治的な問題を抱えた土地にわざわざ赴くこと。
その理由について、談話のなかで作家からこんなお話を伺いました。
作家自身は当時、決してドキュメンタリー写真を撮りたかったわけではないそうです。
むしろドキュメンタリー写真の限界を感じていて、その原因を確かめるためにこそ足を運んでいたらしいのです。
futenma
普天間基地 1988
itoman2
糸満市 1988
yomitani
読谷村 1988
oma
大間 1989
どうやら当初から、問題の現場を無邪気に記録し、あるいは表現する気はなかったのかもしれません。
強いていえば、ドキュメンタリー写真とは何か?そうジャンルを問い直すことに照準が向いていたように見受けられます。
また、当時の作家の脳裏には『三里塚』から『村へ』に至る北井一夫の存在があったとの由もここに記しておきます。

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定休日:火曜
仙台市青葉区春日町7-34
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