新國誠一没後30年

  • 2007.08.30 Thursday
  • 15:30
つい一昨日、東京まで足を伸ばしてきました。
久しぶりの遠出でコーフンしてしまい、無闇に走りまくったせいか、帰ってくるなりぐったり。何しろバスで日帰りだったもので。
主目的は、『新國誠一&ASA』展です。
新國は戦後、活字の組み合わせで視覚に訴える詩を制作し、日本に留まらず、ブラジルやフランスの詩人とも交流し、海外でも活躍しました。
例えば処女詩集『0音』所収の「子どもの城」では、サイズの異なる活字が紙面上に、向きや勾配もさまざまに星のように鏤められています。対応する映像や連辞の構造を一旦漂白し、活字はその形象が喚起する純粋な観念だけを明滅させるのです。そして見る度ごとに特異な星座を切り結ぶことになります。
彼の出身が仙台だという点で、以前から気にはなっていたものの、不勉強なため詳しく存じ上げなかったのですが、そのお陰で(?)展示されている資料はどれも興味深いものばかりでした。どうやら仙台には30代後半まで在住していたらしく、地元文芸誌の同人でもあったようです。この辺はいずれ時間ができたら調べよう。。。
あと藝大美術館の『金刀比羅宮 書院の美』展で、岸岱という絵師を初めて知り、吃驚しました。襖絵というか彼の絵に囲まれて立ち上がる空間(「水辺柳樹白鷺図」)が凄いのです。
ひときわ目を惹くのは、白鷺の舞い降り羽を休めるさまです。これは四方の壁にわたり連続活写され、大胆に対角線を横切るその動勢は、視線をスピーディに誘導します。
ところが他方、金地に緑で浮き立つようにあしらわれた柳が、桟や柱を跨いで、部屋全体に張り出すかのように描かれています。包み込むかのようなその広がりに、つい視線は拡散してしまいそうになります。
そしてこれらすべての描写が極めて明晰に瑞々しく施されているのです。
速度の異なる二つの時間は、互いに対照し合いながら空間に厚みを齎しているようです。観者が一方の時間を追いかけると他方が背景に退き、見えている現在とは別の時間を告げ知らせてくれるのです。

帰りがけに神保町にも立ち寄り、八木書店を覗いてみました。
でもお目当てのものが店頭になく、意気消沈。
慰みがてら、いくつか古本屋を流すものの時間がなく、あえなく収穫物は文庫本一冊のみ。
『世紀末プロ野球』草野進、角川文庫、1986
もはや今は昔、著者は女性野球評論家として、鮮やかに(?)世間を欺いた、元東大総長の蓮実重彦氏です。
車中、彼(/女)独特のアフォリズムが可笑しくって、しばし疲労を忘れることができたのでした。以下抜粋。
「爽快なエラーはプロ野球に不可欠の積極的なプレーである」。
「二番打者を義務感や原罪意識の暗さから解放しうるイデオロギーが必要だ」。
「権利としての走塁を阻止する送球の殺意が試合を面白くする」。
等々。。。

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  • 2019.05.15 Wednesday
  • 15:30
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    コメント
    こんにちわ。おひさしです。奈良の友人です。メルマガ登録させてもらいました!楽しみにしています!

    金刀比羅宮展いかれたんですね!岸岱の作品描写、とても興味深く読ませてもらいました!僕も来週に行くつもりです。

    うちの美術館は夏になってすっかり客足も落ち、一日30人前後…。金刀比羅宮展は十万人突破とか…、どえらい数です。数より質と信じて、粛々といいものを出していこうと思っています…。また仙台も遊びにいきますね!!楽しみにしています。

    • 奈良の住人
    • 2007/08/30 9:57 PM
    >奈良の住人さん
    おぉー元気そうで何よりです。「数より質」!その頑さいいですねー。共感です。
    金刀比羅宮展の人集りはハンパじゃないですよ。ボクの時も行列ができてて、外で待たなきゃならなかったから。覚悟して臨んだ方がよいかも。
    メルマガ登録ありがとう!と云いつつ未だ準備中だったりします。気長にお待ち下さいませ。。。
    東京ゆっくり来る時は連絡下さいね!てか連絡先しらねぇか…。神保町いいですよね。
    • あき
    • 2007/09/01 8:47 AM
    >あきさん
    そうそう、もう30歳にもなったんだし、どっしり構えてゆっくり旅行したいんだよねー。けど貧乏ヒマなし。当分はそれも夢のまた夢でして。。。でも時間取れそうなときは連絡するので、遊んでやって下さいな。
    >もう30歳にもなったんだし
    そ〜お、わたしなんか+20だよ。自分でも信じられません。
    • きょっさん
    • 2007/09/01 3:05 PM
    >きょっさん
    ホント信じられませんよねー。最近はとみに時の経過が速く感じられて、空恐ろしいくらいです。。。
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