第7回「まちかどエッセー」(『河北新報 夕刊』)+追記

  • 2013.10.24 Thursday
  • 12:29
 本題前にお知らせです。
 来月上旬から凡そ2ヶ月のあいだ、せんだいメディアテーク(以下smt)さんの一画で小さな古本市を開きます。弊店ほか、book cafe 火星の庭さんとTURN AROUND(ターンアラウンド)さんも参加します。

 smtさんは、本年度から「対話の可能性」という大きなテーマのもと、映画を中心に数多の企画を進めています。そこで「対話」を探る糸口として、関連書籍を展示販売させて頂くことになったのです。しかも、なんと古橋悌二の「LOVERS」(むろん企画の目玉はこちらですよ!)と隣り合わせで!
 詳しくはまた後日ご報告いたしますね。乞うご期待。

2013.11.7 追記
 本日11/7(木)から始まりました。
 会場の仕上がり、とてもすてきです。ぜひお越しを!
 なんといっても、「LOVERS」が100円ですしっ!!
 画像は、おとといの仕込み風景。
 また後日詳しくご報告しまーす。



 会期:2013.11.7-2014.1.12
 休館:2013.11.28/2013.12.29-2014.1.4
 時間:10:00-19:00(12月中-20:00)
 会場:smt6階 ギャラリー4200


 閑話休題。

 さて、くだんの連載もこれにて最終回を迎えます。かれこれ数ヶ月、お目汚し失礼いたしました。それにも拘らず、ご覧下さった方がいらしたとしたら、この場を借りて格段のお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 今までだと、書くというのがどうも億劫でならなかったのですが、取り組んでみたら存外に愉しく、そんな自分に驚いては呆れたりもしました。貴重な機会を与えて下さった編集者さんへ感謝いたします。
 最後だからと思い切り、今回は割りあい羽を伸ばせた気がします。いつも好き勝手に書いているようですが、じつはどこか遠慮していたのでした。ことばを紡ぐときの、箍のほぐれてゆく感じはとてもスリリングでいいものです。
過去の記事はこちらからどうぞ。窓/2  クモ/3  夢/4  幽霊/5  バス/6  銭湯

* タイトル *
ピクルス

* 本文 *
 ある言い回しを思いつき、満更でもないと思う。ところが、一夜明けてみたらどうも座りが悪い。かえって代わりがいくらも浮かぶ。夕べの確信は何だったのか。現在とは、こうした過去の揺らぎが織りなす、氷山の一角に他ならない。水面下には、私ばかりか進化のありえた記憶まで息を潜めている。
 彼らはことあるごとに今を急きたてつきまとう。本を捲ればともに字句を追い、鑑賞するにも逐一割りこむ。夜風に香気を嗅ぎ分け、移ろう季節を示しもする。終いには、私が食むチーズの味を噛み締め、ワインを呷る私の酔いに浸りたがる。
 逸早く耳を澄まして応ずるものがあれば、それも彼らだ。近隣からラジオが洩れ聞こえる。お陰で目を覚まし、頁に指を挿したまま寝ついたのを知る。心当りのない条り。読み進めたのもやはり彼らなのだろう。痺れが肩から下をうっすら覆う。
 覚める間際、森の奥深くで人知れず木が倒れた。夢とはいえ、それは誰かに見られたとたん矛盾を来す。だから、私はおろか彼らにすら悟られなかったに違いない。ただ余韻ばかりが脳髄に木霊する。
 余った生ハムに瓶詰めのピクルスを鞄へ放り、道すがらバゲットを買う。公園に至るなり、小さな二人に抜き去られる。しなやかさが大人とまるで違う。蹴った反作用が腕の先まで素直に波及し、全身を目いっぱい弾ませる。四肢の謳歌。頼もしい。彼らなら将来何にでもなれそうな気がする。ヌーの大群や狼にさえ。
 あわや転ぶ寸前、掌が大地を捉えた。それを後方へ強く掻き出し、飛ぶように疾駆する。歓喜のあまり体ごと相棒を突き飛ばす。砂塵が舞うなか、どちらからともなく掴みかかり、口角の辺りを頻りに噛み合う。一方が姿勢を低めて左右に振れば、役を交代して他方が飛びかかる。
 しばらく見守ってみたくなり、私もその場で脚を折る。靴紐が解けていたので、体を捻ってどうにか口で結い直す。多少手こずったものの上出来だ。前脚を揃えて顎を乗せた。
 鼓膜に微かな震えを感じる。遠吠えだ。ずっと彼方に狼の群れがいる。まずは腹拵えをしよう。だが、瓶を割らずにピクルスを取り出す自信はない。一眠りしてから考えようか。鼻先から土の匂いに優しく包みこまれる。

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  • 2017.08.22 Tuesday
  • 12:29
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