第6回「まちかどエッセー」(『河北新報 夕刊』)

  • 2013.10.03 Thursday
  • 13:53
 この月曜日9/30に記事が掲載されましたー。およそ1ヶ月のご無沙汰です。
 いよいよ、次が最終回になります。10/21(月)。よかったらご笑覧くださいね。

 本文の前に、お知らせをひとつ。。

 弊店にて開催中の「青野文昭小品展」。誠に申し訳ありませんが、当初の予定を押しております。ただいま2期目を継続中です。つきましては、会期全体をおよそ1ヶ月ずつ繰り延べさせて頂きます。3期目は今月中旬から。
 また、上映会につきましては、予定どおり10/12(土)19:30から弊店にて開きます。今展の作品を滞在制作なさってきたアメリカでの記録映像を流しながら、ゆるい報告会みたいなものになるのではないかと思います。
よかったらぜひ。無料です!


* タイトル *
銭湯

* 本文 *
 いつ止むとも知れなかった昨日。それが一日からっと晴れわたり、佐川のバンが通りを過る。なべて天気は西から移ろい、自転車は左から跨がる。右からの記憶は、ありそうなのに思い出せない。気象予報士の顔なら浮かぶ。たしか、右でもよさそうな髪を左へ分けていた。相応の理由があるのかもしれない。降水確率は10%と言っていた。
 ツタヤへ立ち寄りDVDを返す。すると、今日の好天は、うち一割が雨というわけだ。クロネコらしき配達員とすれ違い、借りようとした隣のパッケージに目が留まる。つまり、雲一つない青空の下、潜在的には雨が降りしきっていたのだろうか。手にとりかけて、そっと戻す。佐川ではない。でも本当にクロネコのユニフォームだったろうか。
 シャツを脱いで畳み、ベルトを緩める。なぜか、ズボンから着替えた記憶が5歳以降欠けている。旅行者風情の中年が番頭に何やら請うている。閉店まであと20分。おかーさんおかーさん。慌てて番台越しに連れを急く。明日は晴れて降水確率は0%。テレビから音声だけが洩れてくる。
 いつもの席は先客が占め、一つおいた隣にも洗面用具が置いてある。他も大差ない。自ずと空いている席につく。軽く濯ぎ、挨拶しながら湯に浸かる。おかーさんおかーさん。石鹸の催促らしい。断るまでもなくみな裸だ。隠す心得はあっても申し訳ばかりでしかない。逆に、あえて見ないことが銭湯では肝要になる。
 現代に近い湯浴み式の公衆浴場は、江戸後期に発する。爾来明治初めまで、混浴が一般的だった。それが、欧米の目には破廉恥に映ったという。しかし、間違いはまず起こらなかった。なぜなら、人とくに異性への凝視は明白な非礼にあたり、世間から面目を失うからだ。露呈しておきながら否認する。役者や人形のいない黒衣だけから成る空間。これが独特な自由の感覚を生む。雨はさておき、晴れが100%とは決して言っていない。
 試しに自転車を右から跨ぐ。案外造作なくこなせ、ビールを買うには小銭が足りなかった。おかーさんおかーさん。トラックが2台停まり、立ったまま運転手が密談している。むろん宅配便とは限らないし、酎ハイも悪くないかもしれない。

 過去の記事はこちらからどうぞ(第1回「窓」、第2回「クモ」、第3回「夢」、第4回「幽霊」、第5回「バス」)。

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