第1回 志賀理江子 試論 (分載1)

  • 2012.03.07 Wednesday
  • 13:08
 本題のまえに、恒例のスィーツ紹介です。
今回は、ピーナッツバタークッキー!ひと袋5つ詰まって180円。どうぞー。
 画像欠
 焼き菓子つばめどうさん作

 さて、市内でカフェギャラリーを営む知人が、近々フリーペーパーを出そうとしています。どうやら、おもに仙台のギャラリー状況を取りあげてゆくようです。ご縁があって、ぼくもひとつエッセイを書かせて頂きました。
 せっかくなので、このブログでも小分けに掲載してゆこうと思います。ご興味を持たれた方は、ぜひ本誌もお手にとってみて下さいね。
 全貌は、ぼくもとんと存じ上げませんが、色々な方が寄稿なさっているようです。弊店でも展示して頂いたことのある、青野文昭さんや大嶋貴明さんもお名前が挙がっているとか。

 それでは、以下本文です。。

***

第1回 志賀理江子試論 ―まなざしと法― 高熊洋平

 2009年から志賀は、北釜という、名取市に所在する、海にほど近い集落へ移住し、東日本大地震を経たのち今にいたるまで、当地で写真を制作し続けている。遡ること2006年にはせんだいメディアテーク(以下smt)で、近年では2011年に宮城県美術館で企画展に参加し、そのあいだ2008年には木村伊兵衛賞を受けている(★1)
 そして、本年11月にはsmtで大規模な個展が俟たれ、あわせて4冊目となる写真集も準備中と聞(★2)。志賀にとって、2012年は重要な節目になりそうだ。ひとまず彼女の仕事を振り返っておくには、今がまたとない機会に違いない。あくまで簡単なメモに過ぎないが、回を分けてまとめておこうと思う。

0 序
 志賀の写真は、どこか不安をかき立てる。かといって、必ずしも見るに耐えない惨状や、恐怖を煽る被写体が曝されているわけではない。むしろ、写されているもののほとんどが、大半の人にとってよく呑み込めない事態ばかりなのではないだろうか。無論、意味の不明瞭さが不安に直結するわけでさえない。それなら、目を閉じれば済むことだ。ところが、志賀の写真が問うているのは、意味や被写体(内容)の向こう、すなわちまなざしそのもの(形式)なのだ。感性的な契機ではなく、それを条件づける超越論的な理念。定言命法さながらに、否応なくまなざしが試されている。だから、目を背けたところで、志賀の問いを見過ごすことはついに叶わない。彼女の写真を見るとは、まさにそう仕向ける法そのものに触れることにほかならない。先に表明した不安は、この法との異常な間近さゆえ、見ないことが不可能になる、この猶予のなさに由来している。
 既刊の写真集を通覧すると、そこには一貫して法とわたり合う必死の倫理(★3)が賭けられている。法は、追いつめられるたびそのつど、新たな問いとして鍛え直され、全くあらたな応答が引き出される。処女作『Lily』から、ほどなくして上梓された『CANARY』へのめくるめく変貌は、いくど見返すも新鮮だ。
 以下、出版年に沿って写真集を繙いてゆこう。(つづく)

【注】
★1   志賀じしんの経歴や発想については『じぶんを切りひらくアート』(高橋瑞木 編著、フィルムアート、2010)に掲載された本人へのインタビューと「日本のアーティスト・序論」『美術手帖』第60巻909号所収(美術出版社、2008.7)の該当記事に拠る。また、2011年6月から2012年3月にかけて進行中の「志賀理江子レクチャー」の記録が、2012年2月1日から3月31日まで、smtの7階に仮設されたオープン・アトリエで閲覧することができる。都合がつかず、レクチャーに参加できない筆者にはとても参考になった。ゆくゆく編集して出版する予定だという。
★2   本人談。なお、既刊の写真集は次のとおり。『Lily』(アートビートパブリッシャーズ、2007)『CANARY』(赤々舎、2007)『カナリア門』(赤々舎、2009)。
★3   「倫理」の用法は、ラカン派精神分析のそれに倣う。つまり、善悪の判定には一切顧慮しない。むしろ、その彼岸にこそ照準を絞る。本稿は、ラカン自身の著作(『精神分析の倫理』上・下巻、岩波書店、2002、「カントとサド」『エクリ』第3巻所収、弘文堂、1981)とともに、彼のカント解釈を手際よく読み解いた、ジュバンチッチによる『リアルの倫理』(河出書房新社、2003)に多くを負う。


***

 なお、志賀さんの写真集は、『カナリア門』を除くすべてが事実上絶版です。
 ただ、作品じたいがどんなものかは、彼女のホームページで公開されているので、確かめることが出来ます。あわせて覧下さい。
 公式ホームページ:Lieko Shiga

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