『みんなのミシマガジン』の「今日の一冊」で選書しますー。

  • 2015.08.02 Sunday
  • 14:24
 本題前に、、お盆期間中の営業につき、お知らせです。
 例によって、とくに店を休む予定はありません。時間も平常どおりです。
 ので、どうぞお越し下さいませ〜。

 閑話休題。

 『みんなのミシマガジン』は、東京の出版社であるミシマ社さんが営むWebマガジン。その一角に、選者が連日入れ替わり立ち替わり、本を紹介するコーナー(HPの中央左)があります。それが「今日の一冊」です。ご縁があって、ぼくも不肖ながら担当させて頂くことになりました。あす8月3日(月)〜7日(金)。ほんの5日間ばかりですが、ご一読頂けたら幸いです。。
 誌面じたい、毎日更新されて多彩な記事が楽しめます。拙文はさしおいても、まずはWebマガジンを覗いてみて下さい。フリーですよ。ぜひ!


 200字という以外とくにお題など制限もなく、現在流通しているものであれば何でもというお言葉に甘えて、自由に書かせて頂きました。さりとて、絶版やら品切れのものが存外多く、当初は焦りましたが。。
 一応、紹介する本を予告しておきまーす。

※ 時間が経ったので、本文をこちらにも転載しました。

8/3(月)
 『狼の群れと暮らした男』ショーン・エリス、築地書館、2012、¥2400+税
   

 狼の家族になりたい。その一心から、著者は単身ロッキーの原野へ潜り、あげく2年間も野性の狼と暮らした。本書はその記録を含む彼の半生だ。想像以上に知的な狼の生態も興味深いが、それ以上に著者の並外れた情熱には崇高さすら覚える。彼は何度も殺されかけてなお、一線を越えない狼に感銘を受け、繰り返し承認される喜びにうち震えるのだ。狼の掟に進んで身を捧げる姿はどこかユーモラスでもあり、マゾッホの小説を思わせる。


4(火)
 『動いている庭』ジル・クレマン、みすず書房、2015、¥4800+税
   

 著者の手がけた庭はよく動く。生長するばかりか字義通り、草花自ら移ろって園路の再考を迫るまでに及ぶ。殊に周期の短い草本種など種子を撒きつつ転々と、群落を結びつ解きつ有利な環境へ拡散してゆく。植物もまた人と同様、庭に作用するアクターなのだ。庭師の務めは、変化の兆しを解釈し応答を試すこと。著者によれば、人為と自然の別なく両者が織りなす遊戯空間こそ庭と呼びうる。その実践が、美しい図版を付して紹介される。


5(水)
 『アゲインスト・リテラシー グラフィティ文化論』大山エンリコイサム、LIXIL出版、2015、¥2700+税
   

 公共の至る所に名前を書き記すグラフィティ。60年代末ニューヨークに発し、90年代からはより広い実践であるストリート・アートを分岐させつつ今も進行中だ。本書はその変遷の機序を明快に案内する。例えば、当初は地元に根ざす通り名だったのが、活動が広がるにつれ、出自に関わる要素を削ぎ落し、判読不能な造形にまで暴走してしまう。キャラとして自立するのだ。それが、オタク文化と照らされもして特性が浮き彫りになる。


6(木)
 『この世界の片隅に』前・後編 こうの史代、双葉社、2011、各¥590+税
   

 佳境、焼夷弾が、絵を嗜む主人公から利き手を奪うや、作者自らペンを左に持ち替え背景が歪みだす。それは心象描写を越えて両手の非対称を印象づける。物語を紡ぐ右と抵抗する左。これは日常と戦争、呉と広島、作中の月日と実際に掲載された月等様々に変奏されてつど一方への偏向が執拗に慎まれる。虚構と現実は排斥し合うのでなく、むしろ両者の交通をこそ作品は促す。無い右手の綴る逸話が現実の浮浪児へ短絡する結末は圧巻だ。


7(金)
 『星座から見た地球』福永信、新潮社、2010、¥1500+税
   

 作中交わることのない年少の4名、各自の挿話が小分けに順繰り語られる。だが、読み進めるうち時系列はおろか彼らの同一性すら怪しくなる。他方で、細部や状況が共鳴しては目配せし、各話の記憶がショートする。描写にリアリズムを託すのではなく、むしろ記憶が象る星座にこそリアリティが宿りうる。だから本作は、読む過程にのみ、仮の定点たる地球としてしか存在しえない。読者とは星座の謂であり、読むたびに結い直されうる。



 ちなみに『この世界の片隅に』は来年、アニメとして映画公開されます(公式HP)。
 原作がまんがというメディウムに目を見開かせてくれる傑作なだけに、多少の不安は拭いきれないものの、、でもでもとっても楽しみなのです。

 映画「この世界の片隅に」特報1

スポンサーサイト

  • 2017.11.23 Thursday
  • 14:24
  • 0
    • -
    • -
    • -
    コメント
    コメントする








        
    この記事のトラックバックURL
    トラックバック

    PR

    calendar

    S M T W T F S
       1234
    567891011
    12131415161718
    19202122232425
    2627282930  
    << November 2017 >>

    看板犬からご案内

    営業時間
    10:00am-20:00pm
    土日のみ-19:00pm
    定休日:火曜
    仙台市青葉区春日町7-34
    お店のホームページはこちらです。

    selected entries

    categories

    archives

    recent comment

    recommend

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM